広島のいのうえ内科脳神経クリニックの院長で、頭痛外来を本格的に担当している井上 健です。

季節は啓蟄!

ハクモクレンがきれいに咲いてます。

あいにくの曇りの日曜日の朝

本日は当番医を務めており、救急の患者さんがほとんどです。

幸いにも、器質的異常がない片頭痛患者さんがいらっしゃいました。

いつものように、生活習慣に関するアドバイスを行いますが、重要な点があります。

片頭痛の原因は決してストレスではなく、ご両親から受け継いだ体質、つまり遺伝的要因が原因なんです。

ただし、ストレスのコントロールは頭痛の軽減につながることがあります。

片頭痛患者さんにあなたの頭痛の原因はストレスだとは決していいません(そう聴こえるかもしれませんが、、)。

ここでふと、生活習慣病という言葉も考えます。

生活習慣が悪いから罹患するという偏見があるのではないかという疑問がわきます。

生活習慣と健康:個人の責任だけではない!

日本の健康教育は、戦前から小学校の学童を中心に行われてきました。

戦後になっても、この教育内容は定期健康診断の重要性を強調するにとどまり、生活習慣の改善には至っていませんでした。

一方、厚生省(現在の厚生労働省)は成人向けの健康教育として、高血圧症などの成人疾患の診断を行う成人病検診を導入しました。

高血圧症が国民の死亡率の第一位を占めるなかで、この検診は必要不可欠とされました。

しかし、

日野原先生はこの「成人病」という言葉が誤解を招く可能性があるとして、これを「生活習慣病」と改名するよう求めました。

先生の提案が受け入れられ、1996年に生活習慣病という名前が採用されることになりました。

生活習慣病は、食生活や睡眠、運動などの日常の行動が関係し、高血圧や心臓病、糖尿病などを引き起こす可能性があります。

そのため、喫煙や過度の飲酒などの悪い生活習慣を改善することが重要です。

私自身も開業医として活動していますが、病気は体質や遺伝的背景が大きく影響します。

しかし

病気を予防し、治療するためには生活習慣が非常に重要です。

健康な生活習慣を心がけることで、病気のリスクを軽減し、健康な生活を送ることができます。

一般の方々は

「あの人は働きすぎだから、ストレスをかかえこんで、食べ過ぎ、運動不足だから病気になった」「太り過ぎだから病気になった」

と考えがちです。

しかし

我々プロフェッショナルは違います。

すべての不摂生は万病のもとにはなりますが、不摂生をしていても必ずしも病気になるわけではありません。

逆に、健康管理を万全にしても病になる人もいらっしゃいます。

私の学生時代の剣道の師匠である世界的にも有名な故勝沼信彦教授は、週に三日は大酒を飲み、毎日喫煙していました。
しかし
大きな持病もなく、88歳で逝去されました。

逆に、

健康管理を万全にしても病になる人もいらっしゃいます。

このように、病気になる要因は個々に異なり、単純な因果関係では説明できないことがあります。

つまり

病気の予防や管理は個人の責任だけではなく、複雑な要因が絡み合うことを理解し、総合的なアプローチが必要です。

生活習慣の改善は重要ですが、その他の要因も見逃さず、患者とともに最適な対策を考えていくことが重要です。

近未来には、生活習慣病という名前もなくなるかもしれませんね。

医療の進歩と共に、より的確な疾患の名前や理解が生まれるかもしれません。