いのうえ内科脳神経クリニックの井上です。

高血圧診療にも情熱を注いでおります。

患者さんによく質問されます。

「高血圧のお薬って飲み始めたら一生飲み続けるのでしょ?」

この質問って怖そうな先生にはできませんね。

この答は

「そんなことはありません。」

実際は多くのかたが一生飲んでますよね。

だから少しくわしく説明しないと患者さんはご納得されません。

適切な説明は、すこし難しくなりますがつぎのような感じで。

「お薬を今飲むと将来お薬が必要でなくなる可能性が高くなります。」

「飲まないと将来もお薬を飲む必要が続く可能性が高くなります。」

んー、なんか屁理屈のようにも聞こえますね。

屁理屈と思わずにまあ聞いてあげてください。

でも

長くなりますのでお時間のないかたは、まとめのところまで一気にスキップされてくださいね。

血管伸展性検査(けっかんしんてんせいけんさ)です。

腕と足首の四箇所にマンシェットを装着します。

血管伸展性検査の結果グラフですね。

横軸がご年齢で縦軸が血管の硬さをみます。

赤色の線で囲まれたところが標準的な血管の硬さといわれる部位となります。

その真ん中を通る線が健康なかたの標準値の平均値というわけです。

この○○さんの場合は実際の年齢が45歳で血管の硬さはグラフで表される黒い点のところです。

平均値を横にずらして行くと、なんと、30代前半。

血管の硬さは30代前半に相当します。

このかたは病気もなく、運動・食事・睡眠・ストレスに関していうこともない理想的な人生を送られております。

身長は159cmで体重が58kgでBMIは23.0kg/m2です。

血圧も104/61mmHgと低めです。

このグラフの平均値をみてください。

加齢とともになんと20歳から動脈は硬くなっているようです。

一般的に動脈硬化というのは血管に画像的にも異常がある状態です。

血管にプラークという油のかたまりがついたりするのをエコー検査(超音波検査)で指摘されます。

単純レントゲンやCTでは大動脈の石灰化や心臓を栄養する冠動脈の石灰化を白い影で見ることができます。(下の写真は胸部CTです。大動脈に矢印で示すような石灰化を認めます。)

 

脳のMRIでは、フレア画像で深部白質に白い点が散在して見えます(深部白質病変)。

眼底検査では眼底の動脈硬化を直接みることができます。

このように動脈硬化はあらゆる動脈に出現します。

これらの変化は健康なかたでも40歳を超えた頃からでてきます。

そんなわけで血管拡張検査も健康なかたの60歳あたりの平均値以上になると動脈硬化の疑いがでてきます。

年齢とともに血管が硬くなることはさけられません。

それにつれて、脳梗塞や心筋梗塞になるリスクが高くなります。

動脈硬化の進行の予防

肥満症

高血圧

糖尿病

高脂血症

高尿酸血症

などの治療

運動とストレスの解消

そして禁煙です。

一般に血管年齢が高い人ほど脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高くなります。

高血圧や高脂血症の治療薬を飲むと血管年齢が高くなるのを抑制できます。

それどころか血管年齢が若返ることもあります。

もし高血圧の患者さんがお薬を飲みながら運動や食事療法を継続したら、

一年後には血圧も正常になり血管年齢も若返るかもしれません。

高血圧の患者さんが、お薬を飲まずにいたら運動や食事療法のみでは血圧コントロールができず血管年齢はどんどん加齢化してしまうかもしれません。

お薬を飲んで若返った血管のかたはお薬を中止してみようとなるのです。

もちろん最初からお薬を勧めずに運動や食事療法などのみで治療することもあります。

ただそれらのみでは不十分だと、運動や食事などの療法が十分ではないかたには、お薬をすすめます。

つまりお薬をいまのめばもしかしたらお薬を一生飲む可能性は減るのです。

お薬を飲み始めたら一生飲み続けれなければいけない。

それは真っ赤な嘘です。

お薬を飲み始め一生飲み続けるかたが多いのは事実ですが、

それは体質というのはそう簡単には変えれないことからです。

もう一ついいお話し。

漢方薬にも高血圧を治療するものがあります。

こちらは体質改善効果も期待できます。

まとめ

「高血圧のお薬って、飲み始めたら一生続ける必要があるのでしょ?」

に対するこたえは、「そんなことはありません。」

ただそう答えるのではなく、お薬を今飲むと将来お薬が必要でなくなる可能性が高くなるのだと説明を。

飲まないと将来もお薬を飲む必要が続く可能性が高くなります。

と答えるようにしてます。

理由は、動脈硬化の進行を予防するのがお薬であり、運動や食事療法などです。

体質が改善されればお薬は必要でなくなります。

改善される前に動脈硬化が進行してしまえば一生お薬を飲見続けないといけない状態になってしまうわけです。

飲むか飲まないかは患者さんが決めますが、あなたの血管がそのお薬を必要としているかは医師が決定します。