もくじ

精神疾患と頭痛について

こんにちは。

頭痛外来のあるクリニック「いのうえ内科脳神経クリニック」の院長、井上です。

本日は令和6年6月29日の夕方です。

今日は雨が降っておらず、散歩のチャンスですが、私はクリニック内で残った仕事に取り組んでいます。

開業以来、患者さんには「毎日の有酸素運動を」と言い続けてきましたが、自分自身の体重は8年前に約5kg増え、肥満気味になってしまいました。ある日、患者さんから「先生は運動されていますか?」と尋ねられたとき、これはまずいことになったと思いました。当時、私は1日に2000歩しか歩いていなかったのです。

その出来事をきっかけに、私は毎日の運動を欠かさない人間に変身しました。

さて、今回は精神疾患を持つ患者さんの頭痛についてお話ししたいと思います。精神疾患と頭痛の関係については、誤解が多いですが、実際に直接的な関連があるのは次の二つの頭痛だけです。

1身体化障害による頭痛
2精神病性障害による頭痛

身体化障害による頭痛

身体化障害とは、心理的なストレスや問題が身体的な症状として現れる状態を指します。

頭痛はこの障害の一症状として現れることがあります。

具体的には、身体化障害の患者さんは、心理的なストレスや不安を感じると、そのストレスが身体的な痛み、例えば頭痛として現れることがあるのです。

この頭痛は、精神的な問題が解決されない限り、治りにくい傾向があります。

精神病性障害による頭痛

精神病性障害における頭痛は、患者さんが頭痛を訴える背後に妄想や幻覚といった精神症状が関与している場合があります。

例えば、患者さんが「宇宙人に装置を頭に埋め込まれた結果、頭痛が生じている」と確信しているようなケースです。

このような場合、頭痛の訴えは実際の身体的な原因によるものではなく、患者さんの精神状態によるものです。

精神疾患と一次性頭痛

一方で、うつ病患者さんが頭痛を訴えることがよくあります。

しかし、この場合、多くの医師が「うつ病による頭痛」と誤解することがあります。

実際には、うつ病患者さんは一次性頭痛(器質的病変がない頭痛)を併発することが多いです。

特に、緊張型頭痛や片頭痛の頻度や程度が増えることがあります。

うつ病そのものが頭痛を直接引き起こすわけではなく、うつ病が頭痛のリスクを高めると考えられます。

まとめ

精神疾患と頭痛の関係について理解を深めることは、患者さんへの適切な対応に繋がります。

身体化障害や精神病性障害による頭痛は、精神的なケアや治療が必要です。

また、うつ病患者さんの頭痛については、一次性頭痛の可能性を考慮し、適切な診断と治療を行うことが重要です。

精神疾患と頭痛の関係を正確に理解し、患者さん一人ひとりに最適な治療を提供することが私たち医療従事者の使命です。

今後も、患者さんの健康と幸福を第一に考えた医療を提供してまいります。