おはようございます。

いのうえ内科脳神経クリニックの院長の井上健です。

本日は、巷にながれる情報についてです。

グルテンフリー食が体によいはまだ確立されてはない!

うどん屋さんやパン屋さんの味方になる発表です。

グルテンフリーは後に示すセリアック病の患者さんにとっては必要なものです。

しかしセリアック病がまれな疾患である我が国においてグルテンフリーが体によいとかかげる流行にはいままで首をかしげてました。

今回、グルテンフリー食に対してネガティブな意見が発表されました。

グルテンフリー食が糖尿病発症に予防的に働かないばかりか発症の原因にもなる可能性がある。

グルテンとは?

小麦、ライ麦などの穀物の胚乳から生成されるタンパク質の一種です。

グルテニンとグリアジンが水を吸収して網目状につながったものがグルテンです*。

うどんなどの麺類やパン、小麦加工品を作る上で弾性や柔軟性を決定し、膨張を助けるのがグルテンです。

グルテンフリー食は健康によい?

テニスプレーヤーのジョコビッチ選手がグルテンフリー食にしてパフォーマンスがあがったお話は有名です。

その後、芸能人達がこの方法でダイエットに成功したと報道。

いまや欧米を中心にグルテンフリーは肥満を防ぐという健康法が広がりました。

肥満になるとまず心配する病気は2型糖尿病

肥満になるとインスリンの受容体に変化が起こりインスリンがでても血糖値が下がりにくくなります。

2型糖尿病ですが、グルテンフリーの食事で2型糖尿病の発症は予防できるか?

答え

できない。

そればかりか最近の発表ではグルテンフリーの食事をしたグループの方が2型糖尿病の発症が増えることがわかりました。

20万人の医療従事者の食事内容を分析したとこと、グルテン摂取量が1日6グラム未満のかたは1日6グラム未満のかたにくらべ2型糖尿病の発症率が上昇するという知見が得られました。

【文献】Zong G et al. Gluten intake and risk of type 2 diabetes in three large prospective cohort studies of US men and women. Diabetologia. 2018 Aug 3. doi: 10.1007/s00125-018-4697-9. [Epub ahead of print]

ではなぜジョコビッチ選手はグルテンフリーにしてパフォーマンスがあがったのでしょう?

それは、ジョコビッチ選手は「グルテン」が不調をひきおこす病気をもっていたからです。

「セリアック病」

グルテンが体内に入ると 敵が侵入して来たと勘違いし、自らの小腸を傷つけてしまう自己免疫疾患。

小腸の絨毛(じゅうもう)が損傷するために栄養分が吸収できなくなる病気。

だから慢性的な下痢や便秘をきたしたり、お腹の痛みや嘔吐、倦怠感・貧血・皮膚のかゆみ・関節痛などをきたすのです。

ジョコビッチ選手はこのセリアック病だったからグルテンフリーにしてパフォーマンスがあがったのです。

医学的にみればあたりまえの話。

甲殻アレルギーのかたがかにやエビなどを避けることで調子がよくなること。

杉花粉のかたが、スギ花粉が飛ばない季節になると調子がよくなること。

これらの状態に似ているわけです。

日本においてはセリアック病の頻度は極めてひくいことがわかっております。

【文献】Watanabe C et al. Prevalence of serum celiac antibody in patients with IBD in Japan. J Gastroenterol. 2014 May;49(5):825-34.

他にも「グルテン」が不調を引き起こすことがあるものは

「小麦アレルギー」

小麦に含まれるたんぱく質に過剰に反応する免疫疾患。

小麦のなかには沢山のタンパク質があり、グルテンには反応しないという人もいます。

「グルテンアレルギー(グルテン過敏症)」

グルテンに対して過剰な免疫反応を起こすもの。

全身にアレルギー症状がでます。

小麦がよく知られていますが、小麦のグルテンに類似したタンパク質を含むほかの穀物(ライ麦、大麦など)にも反応することがあります。

「グルテン不耐症」

これはアレルギー疾患とは異なります。

グルテンを分解したり消化する酵素が不足してたり、欠如してたりする病気。

全身に慢性的な不調をきたします。

症状はセリアック病に似ています。

*日本においては小麦アレルギーとして小麦依存性運動誘発アナフィラキシーが有名ですが、その抗原(アナフィラキシーの原因物質)であるグリアジンやグルテニンが結合したのがグルテン。

ジョンコビッチ選手を含み、これらの病気があるかたにとってグルテンの摂取を制限したり除去することは意味があります。

つまりグルテンフリーの食事法が有効なんです。

しかし、それを真似して病気でもないのにグルテンフリーの食事をとるのはナンセンスではないでしょうか?

甲殻類アレルギーがないのに、カニやエビを食べなくなり調子がよくなる。

同じ様なことです。

現在、巷ではいろいろなダイエット方法があります。

明らかに変だと思えるものから有名なかたが推奨していたり、いかにも有効という方法があります。

しかし、医学的な根拠がはっきりとしてないものは残念ながら推奨するわけにはいきません。

一つの食品や一つの栄養素にしぼったダイエット法には思わぬリスクがつきそうです。