認知症の発症はしていないけど、将来半分位の確率で認知症になるだろうと言われている患者さんがいらっしゃいます。

物忘れで来院される患者さんで、年相応からちょっとだけ進んだ物忘れという方の多くです。

もくじ

これらの患者さんは軽度認知障害とよびます。

医療保険では、現時点では軽度認知障害にたいしての認知障害を改善させるお薬はありません。

ただし、アルツハイマー病に使用するコリンエステラーゼ阻害薬は軽度認知障害の認知機能を改善させるというエビデンスがあります。

コリンエステラーゼ阻害薬の代表的なものに塩酸ドネペジルというお薬があります。

このお薬を用いて、アメリカ空軍のパイロットの注意力や認知能力を検討した研究があります。

なんと、注意力と認知能力の改善をみとめました。

一方、このお薬を用いて軽度認知障害のかたが将来アルツハイマー病に移行するのを防げるかと検討した研究があります。

結果は、残念ながら無効でした。

現時点で、軽度認知障害のかたにできること、認知症への移行を予防するには

高血圧、高脂血症、Ⅱ型糖尿病にはじまる生活習慣病の治療を適切に行うこと。

・難聴などの治療をすること。

・有酸素運動を続ける。

・頭痛などあれば、治療をすること。

また、食事の内容では地中海式ダイエットがよいというエビデンスもあります(エビデンスレベルは前記に比べやや低いです)。

日本食は残念ながら比較検討はされておりませんが、地中海式食事に近いとされており、厚生労働省もおすすめしております。

・ココア摂取 エビデンスがこれもダイエットと同じレベルですが、カカオが海馬(かいば)という記憶の中枢の一つの体積を維持したり増大するという報告があります。

エビデンスとして効果がないものとしては

・非ステロイド系抗炎症薬 (NSAIDs) バファリン・イブ・ロキソニンなどの消炎鎮痛薬です。

昔、アルツハイマー病は炎症が関連しているから(正しいですが)、このような抗炎症薬が認知症の進行に有効ではと考えられていたころがあります。

多数の関節リウマチ患者さんで抗炎症薬を飲んでいた集団と、そうでない集団との比較でネガティブデータがでております。

ネガティブデータとは、抗炎症薬が有効でなかったというデータです。

また、抗炎症薬の長期投与は、腎臓機能低下にもつながります。

当院ではMCIスクリーニング検査もはじめております。

参考はホームページブログをみてください。