もくじ
マッサージに行ってから頭痛
マッサージに行ったあとから頭痛がしたという患者さんがいらっしゃいます。
彼女は27才で、独身、お仕事は某会社の事務でいつもパソコンとにらめっこ。
患者さんは、その日なんか体調がわるく、気分もさえない感じでした。
生理前でいらいらしてたのでそのためかと思ってました。
また、お仕事も無理したので肩や首も凝ってきました。
それで、その日の夕方は残業などせずにマッサージをうけにいこうと。
肩こり・首こりもあるのでいつもより強めのマッサージをうけてみました。
マッサージはとても気持ちよかったのですが、その途中から、なんかやたらと眠気がでてきたとのこと。
そしてやたらと甘いものが欲しくなり、近くのコンビニでチョコレートを買いました。
その後、自宅に帰って急に頭痛がはじまり、30分ほどで寝込むほどの痛みになり三回吐きました。
マンションのあかりも普段よりまぶしく感じられ、道路から聞こえる車の音もいつも以上にやかましく聞こえました。
質問です。
彼女の頭痛の診断は?
なぜ頭痛が起こったのでしょうか?
彼女は典型的な片頭痛です。
このように、頭痛がおこる前に以下の症状がおこるのを予兆(よちょう)といいます。
予兆のときの症状
・倦怠感
・眠気
・食欲亢進
・抑うつ感
・音・光・においなどに過敏になる
予兆は頭痛がおこる二日前から30分前に出現するといわれております。
彼女は倦怠感・眠気・肩こり・首こり・食欲亢進・抑うつ感などがみられます。
*片頭痛は頭痛がおこるまえに前兆と予兆というのがあります。
前兆(ぜんちょう)は四人に一人位しか自覚されませんが、予兆は過半数くらいの方が自覚します。
なぜ、頭痛がおこったのでしょうか?
予兆期に強いマッサージをうけたからです。
予兆期は少し休むようにする。
少し早めに休むこと、日中ならば、30分以内の昼寝をする。
熱いお風呂への入浴をさけ、できればシャワーだけにする。
食欲がでても、お酒、チョコレート、チーズ、ハム、ソーセージ、ナッツなどは避ける(個人差あります)。
マッサージに行くのもよいことがあるが、普段よりも軽めのものを。
漢方薬や胃薬(メトクロプラミドやドンペリドン)を飲む(当院ではとくにおすすめしてます)。
カフェインをとるのもよいかもしれません(個人差あります)
これが、ただしい予兆期の過ごし方と思われます。
それですが、彼女は予兆期に肩や首こりの症状のため、普段より強めのマッサージを受けてしまいました。
そして、帰宅途中に買ったチョコレートを食べました。
案の定、片頭痛発作が出現したのでした。
片頭痛は、遺伝子が原因であり体質に依存します。
しかし、誘因は多くの環境因子です。
単独のことは少なく、通常は誘因が複数かさなります。
彼女の場合は
・生理
・仕事でのストレス(精神的なものや、長時間パソコンなど筋性ストレス)
が誘因としてあったのだと思われます。
そして、片頭痛の予兆がはじまりました。
予兆期には片頭痛の誘因となるものを行ってはいけません。
それを彼女は行いました。
・強いマッサージ(軽いマッサージは片頭痛の予防になり、推奨されます)
・チョコレート
です。
無理な姿勢の要因にはストレッチが有効です。
首やからだのこりだけでなく、精神的な緊張もほぐれていくからです。
ストレッチのやり方は、力まない、反動をつけすぎない、自分の自然の呼吸にあわせて筋肉をゆっくりと伸ばしていきましょう。
当院ですすめている頭痛体操・肩こり体操などがストレッチに該当します。
ただし、予兆期や頭痛が起こっているときには、体を動かすだけで頭痛が生じたり悪化しますので避けましょう。
誘因となることを予兆期には避けましょう。
Hauge先生らが論文に片頭痛の誘因を書いております。