「早寝早起きは健康にいいですよ。」

「規則正しい生活を心がけましょう。」

これは医学的にも、とても大切なことです。

でも、早起きが苦手な人、時間に少しルーズな人、片づけが得意ではない人を見ると、「まあ、そういう人もいますよね」と思います。

診察をしていても、「先生、私、朝が本当に弱いんです」「部屋が片づかないんです」と申し訳なさそうに話される方がいます。

そんなとき私は、「健康のために少し工夫できることは一緒に考えましょう。

でも、そのことで落ち込む必要はありませんよ」とお話ししています。

生活習慣を少しずつ整えることは健康につながります。

しかし、完璧を目指す必要はありません。今回は、「無理なく続けられる習慣づくり」についてお話ししたいと思います。

この導入なら、重い「価値観」の話には入らず、患者さんが「あるある」と共感しながら読み進められる内容になっています。

健康のために生活習慣を見直すことは大切です。

「早寝早起きができません。」
「時間に遅れてしまいます。」
「部屋の片づけが苦手です。」

診療をしていると、このようなお話を患者さんから伺うことがあります。

そして、多くの方が続けてこうおっしゃいます。

「私はだめな人間なんです。」

私は、そのようには考えていません。

もくじ

健康によい習慣は大切です

もちろん、医学的には規則正しい生活は健康に役立つことが分かっています。

  • 十分な睡眠
  • 適度な運動
  • バランスのよい食事
  • 禁煙
  • 節酒

これらは脳卒中や認知症、糖尿病、高血圧など、多くの病気の予防につながります。

また、毎日少しずつ生活を改善することが大きな成果につながるという考え方も、多くの研究で支持されています。

しかし、それは**「健康になりやすい方法」を示しているのであって、「人間としての価値」を決めるものではありません。**

人にはそれぞれ事情があります

夜型の体質の方もいます。

子育てや介護で生活が不規則になる方もいます。

うつ病、不安障害、ADHD、自閉スペクトラム症、慢性的な痛みなどがあると、早起きや整理整頓、時間管理が思うようにできないこともあります。

また、睡眠時無呼吸症候群や概日リズム睡眠障害など、医学的な背景が隠れていることもあります。

「できないのは努力不足だから」と決めつけることは、とても危険です。

習慣と人格は別です

私たちは知らず知らずのうちに、

「時間を守る人は立派」
「整理整頓できる人は優秀」

という見方をしてしまうことがあります。

もちろん社会生活では大切な能力です。

しかし、それができることと、その人の優しさや誠実さ、人としての価値は別の問題です。

時間に少しルーズでも、人にとても親切な方がいます。

片づけが苦手でも、家族を大切にしている方がいます。

朝が苦手でも、一生懸命仕事をしている方がいます。

私たちは、その人全体を見たいと思っています。

医療者として大切にしたいこと

生活習慣の改善は健康のためにお勧めします。

しかし、それを「できない人」を責めるためではありません。

「少しだけ睡眠時間を増やしてみましょう。」

「10分だけ歩いてみませんか。」

「今日は一つだけ片づけてみましょう。」

そんな小さな一歩で十分です。

そして、できなかった日があっても、自分を責める必要はありません。

当院が目指す医療

当院では、検査や薬だけでなく、その方の生活や価値観も大切にしたいと考えています。

健康に役立つ習慣は一緒に考えます。

けれども、生活習慣だけで人を評価することはありません。

人には、それぞれの人生があります。

私たちは、その人生に寄り添いながら、その方に合った健康づくりを一緒に考えていきたいと思っています。


院長からのメッセージ

「健康によい習慣を目指すこと」と「人を評価すること」は別です。

早寝早起きが苦手でも、片づけが苦手でも、時間に少しルーズでも、それだけで人の価値は決まりません。

健康づくりは誰かと比べるものではなく、昨日の自分よりほんの少し前に進めたら十分です。

そして、その一歩を踏み出せない日があっても、あなたの価値は何も変わりません。健康とは、完璧な生活を送ることではなく、自分らしく生きながら、できる範囲で体を大切にしていくことだと、私は考えています。