いのうえ内科脳神経クリニックの院長です。

本日は2月とは思えない暖かい日でした。

小春日和。

青天の中、ウォーキングを楽しめられた方はラッキーでしたね。

本日は久々にブログを書いてます。

ホームページではCGRP製剤について追加しました。

もくじ

ストレスで脳内爆発音症候群

ストレスで心筋梗塞やくも膜下出血になることは知られておりますが、ストレスで脳内爆発音症候群を来すことは知られてません。

寝ている間に、頭の中が破裂するような感覚で目覚めたり、ギターをかき鳴らすような爆音が聞こえたりする。

これは脳内には何も異常はないのですが、このような症状を経験される方の多くは

ストレス

によって身体や精神に何らかの異常を呈していることが多く見られます。

頭内爆発音症候群(Exploding Head Syndrome;EHS)は、

入眠期や夜間中途覚醒時に頭内で急激な爆発音あるいは爆発の感覚が生じる珍しい症状です。

この病態の詳細は未解明であり、現在までに確立された治療法は存在しません。

EHSの特徴

入眠時にギターをかき鳴らすような爆音が現れることが挙げられます。

この症状は通常、疼痛を伴わず、良性の疾患とされていますが、爆発音による精神症状が現れることがあります。

過去の報告によれば、EHS発作後に恐怖や発汗、

動機などの自律神経症状が出現することや、

重篤な疾病にかかっているのではないかという心気症状の出現、

入眠への不安による不眠などが報告されています。

EHSによってパニック障害が発症したという報告があります。

62歳の女性

夜間入眠時に頭内で爆音を感じて覚醒するようになりました。

初期は頻度が低かったが、不安感が募り、半年後にはほぼ毎日のように発作が現れるようになりました。

精神科を受診しても効果がなく、症状が悪化していく中、最終的に某大学病院を受診しました。

MRIや脳波検査で異常は見られませんでしたが、EHSと診断され、抗不安作用を有する抗てんかん薬の投与により症状が改善しました。

EHSの発症にはストレスが関与する可能性があり、不安や恐怖が増強されると、症状がさらに悪化する悪循環に陥ることが考えられます。

先ほどの症例は介護ストレスなどが契機となってEHSが発症し、不安感や恐怖心が増大し、最終的にパニック障害に至ったと推測されます。

治療に際しては、患者さんに頭部MRIや脳波検査などを施行し、器質的異常がないことを証明し、不安や恐怖を軽減させることが重要です。

薬物療法

抗うつ薬や抗てんかん薬などが用いられることがあります。

今後の課題

EHSと精神症状の因果関係や薬物療法のメカニズムなどの解明が挙げられています。