頭痛診療を専門にしてます広島のクリニック院長です。
こった肩をわれわれは触りますが、揉むというだけでなく触ると気持ちいいのです。触るという感覚トリックについてほ本日は話題にします。
感覚トリックのお話です。
脳の誤作動の続編。
はじめで読まれるかたは以下の記事もご参考に!
3 脳の誤作動に注意(続編2)ネックレスやパソコンのモニター
今日は三つのわたしの経験についてお話をします。
もくじ
1 患者さんに肩こりが治ったといわれました。
いつも着ていたきつめのシャツを、ゆるいものに変えた。
たったこれだけです。
脳の誤作動、感覚トリックの記事を読んでいただけたかたはなるほどと納得されますね。
きつめのシャツがカラダに触れる感覚が、首まわりや肩までの筋肉に異常興奮させていた。
脳の誤作動です。
ゆるめのシャツの刺激が、感覚トリックとして、脳を、刺激して首まわりや肩までの筋肉の異常興奮をゆるめた。
このいずれか、あるいは両方が作用したのではないかと思います。
だから、真似してゆるめのシャツを着ても肩こりはよくなる人もいれば悪くなる人もいます。
一般的には、よくなる人が多いとおもいますが?
診察室では、残念ながら肩やくびの力を抜くようにくらいしか指導ができてません。
時間がないからです。
しかたがないので、肩こりについてアイチケットさんが作ってくれたパンフレットや頚部のツボについて記載した紙を患者さんにわたします。
おそらく、このフォローが素晴らしいのだと思います。
患者さんに気づきをあたえ、病気に対するとりくむ姿勢をサジェスチョンしています。
こんかいは、肩こりについてでしたが、他の神経難病や認知症にたいしても向き合う姿勢や気づきをあたえてくれているみたいです。
2 先週の日曜日に目にした雑誌です。
肩こりや片頭痛や緊張型頭痛の治し方
民間療法や医学的にエビデンス(証拠となる研究)がないことでも、実際には患者さんの症状をとったり病気を治癒することがあります。
あくまで、ことがあるというレベルです。
私は科学的エビデンスのない治療は基本的にはおすすめしません。
しかし、なにか患者さんの役にたつことはないかといろいろな雑誌をよむようにしてます。
わたしがもっているエビデンスのある医学知識と照らし合わせ、患者さんに有用となる情報を得ようとします。
そんなわけで、今回は株式会社マキノが出版されている月刊誌壮快(そうかい)に書かれている記事を紹介します。
首ユラユラ体操
相模原市の整骨院の立林幸汰(たてばやしこうた)さんが見開き2ページに執筆されてました。
仰向けに寝て、頭を左右に回旋させる体操を推奨してました。
頭部は、4kgくらいあり結構重たいので、へたに首をふったりひっぱったりすると頸部の重要な動脈が切れることがあります。
でも、仰向けになって左右にゆっくり回旋させる方法は負担がなくよい印象があります。
具体的な方法
①あおむけになり、両手の親指以外の4本の指を耳の下あたりにそえる。
②そのまま、ゆっくりと頭を左右にたおし三往復します。
③添えた指を少し下にずらします。そして②と同じように、三往復します。
②と③を30秒間くらいかけてくりかえします。
このポイントは
首の筋肉が動いているのを、指の感触で確認しながらおこなうこと。
ゆっくりやることです。
あおむけになると首が反り返って、あごが上がるときや、姿勢がつらいときは、頭の下やひざの裏にまくらを入れて調整してみてください。
たしかに、肩こりの治療に有効そうであり、片頭痛や緊張型頭痛の予防にも有効と思いました。
また、頭痛が起こったときにもやってよいとコメントがありました。
片頭痛がおこる前の予兆期や頭痛期に首のストレッチなど強いものをおこなうと頭痛が誘発されたり、頭痛がひどくなることがあるからです。
ただし、首ゆらゆら体操は軽いストレッチになりますので、うまく利用すると効果ありそうです。
実際、わたしどもも片頭痛時の発作時にかるい頸部ストレッチが有効で、一部のかたはすすめております。
なぜ、首ゆらゆら体操を話題にしたか
方法です。
4本の指を(左右で8本)耳の下に置いておこなう。
まさに感覚トリックです。
こうすることにより頸部の筋肉が弛緩(しかん)しやすくなるからです。
なぜ、頸部のストレッチがよいか
単純には硬くなった筋肉をほぐすからです。
複雑にいうと、硬くなった筋肉からはこり信号(こったという不快感)を脳に送っています。
この不快信号が脳の誤作動をおこして、ますます筋肉を収縮させてしまうのです。
このようなストレッチをおこなうことで、誤作動をおこす信号を減らすことができるのです。
同様のストレッチをマイベストプロにても紹介しております。
3アイチケットのインタビュー
先週の木曜日の午後でした。
午後5時から約一時間のインタビューでした。
感覚トリックについてアイチケットさんにまとめていただきたい。
患者さんに、これを理解していただくことでジストニアを含めた不随意運動や肩こりに対しての対応について気づきを提供したい。
その思いでインタビューを受けました。
まず、聞きなれない言葉「感覚トリック」です。
どのようなものか説明するだけで大半の時間をつかってしまいました。
その後、治療についてのコメントはどうされますか?
感覚トリックを知っていただくことが、今後の日常生活において肩こりがない生活を送る気づきになるはずです。
とコメントをしました。
漠然としています。
具体例として、パソコンの画面に向かう時に、南の島に行って景色をながめるような姿勢がとれれば、肩はこらないのです。
ならばリラックスしろというわけですか?
リラックスといればそうなんですが、
ブログでトラックボールマウスが肩こりにいいと記載されてましたがどうしてですか?
肩に力が入りにくい姿勢での動作になるからです。
これも、人によっては逆に肩こりになる場合もあります。
トラックボールというボールを親指のみで動かすと、たしかに使用する筋肉の量は減ります。
使用する筋肉量が減ります。
だから肩が凝らなくなる。
このように説明書には記載されております。
はたして、それは正しいのでしょうか?
感覚トリックと脳の誤作動を理解されているかたにはおわかりと思います。
親指というのは人の大脳の感覚野の地図のなかでは非常に広い領域なのです。
マウスを使用するときにこの領域に刺激をあたえると、人の肩や首の筋肉は弛緩(ゆるむ)可能性があるのではと思います。
もちろん大多数のひとがそうなると予想しますが、一部逆に筋緊張が強くなるかたもいますので、そのようなかたは、トラックボールマウスはむいてません。
そう思ってトラックボールマウスを触っているためか、私はトラックボールに変えてから肩こりはおこりにくくなったようです。
不思議と首や肩の力が抜けてくるのが、トラックボールマウスの感触かと思います。