もくじ
アレルギー性疾患と片頭痛の関連性について
当院には現在、日本初となるであろうアレルギー専門医かつ頭痛疾患に造詣が深い先生が令和6年4月より勤務されております。
この先生と共に、アレルギー性疾患と片頭痛の関連性について最新の知見を共有いたします。
アレルギー性疾患と片頭痛の関連性
過去の文献で否定されたと記憶している方もいらっしゃるかもしれませんが、近年の研究ではアレルギー性疾患と片頭痛の関連性が再評価されています。
2021年のガイドラインでも、アレルギー性疾患は片頭痛の共存症として記載されています。
例えば、デンマークの双生児を対象としたコホート研究では、喘息を持つ人は片頭痛を経験するリスクが増加することが示されています【1】。
因果関係の可能性
– **病態の共通点**: 硬膜には肥満細胞があり、ヒスタミンを放出することで片頭痛の病態が悪化する可能性があります。
ヒスタミンは三叉神経系の感作を引き起こすため、アレルギー反応が片頭痛を誘発するメカニズムが考えられます【2】。
Evidence-Based Medicine (EBM)とガイドラインの観点から
アレルギー性疾患が片頭痛を悪化させるメカニズムに関する確固たる証拠はまだ限られていますが、共存症としての関連性は認識されています。
実際の臨床では、アレルギー性疾患を持つ患者が片頭痛の頻度や重症度が増すと報告することがあります。
抗アレルギー剤の効果と片頭痛との関係
抗アレルギー剤(キプレス、オノン)が片頭痛に効果があるかどうかについては、現時点ではエビデンスが不足していますが、一部の臨床医や患者からは効果が報告されています【3】。
今後の位置づけの変化の可能性
– **免疫と片頭痛の関連性の研究**: 多発性硬化症(MS)と片頭痛の関連性を指摘する研究があるように、免疫系と片頭痛との関連性についての理解が進むことで、アレルギー性疾患の位置づけが変わる可能性があります。
– **将来的な研究の必要性**: 免疫系の影響を考慮した新しい治療法や予防策が開発される可能性があります。
まとめ
アレルギー性疾患と片頭痛の関連性については、近年の研究で再評価されており、一定の関連性が示唆されています。
抗アレルギー剤の片頭痛への効果についてはエビデンスが限定的ですが、今後の研究でさらに理解が深まることが期待されます。
免疫系と片頭痛の関係を探ることで、新しい治療法の開発につながる可能性があります。
この情報は、東京歯科大学市川総合病院神経内科教授の柴田護先生から学んだものです。
【1】デンマークの双生児コホート研究
【2】硬膜の肥満細胞とヒスタミンの役割
【3】抗アレルギー薬の臨床報告
関連する論文やガイドラインの具体的な参照は、さらに詳細なレビューを通じて確認することをお勧めします。