いのうえ内科脳神経クリニック院長の井上です。
本日もブログを読んでいただきありがとうございます。
本日は片頭痛の話題!
日本人の多くが経験している片頭痛(女性に限れば五人にひとり)ですが
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片頭痛は片側の頭痛ではないのです!
医学的には日常生活に支障がでる一次性頭痛で、嘔気や音や光過敏をともなう頭痛です。
両側性でも片頭痛なんです。
片頭痛は国語辞典では片側の痛みって書いてます。
じつは先日紀伊国屋書店で、広辞苑を立ち読みして確認しました。
つまり、世間一般のひとがいう片頭痛と医学的にいう片頭痛とは乖離(かいり)があるのです。
そんなわけで、
髄膜炎でも、風邪でも、脳卒中でも
患者さんが左右いずれかの頭を抑えて「片頭痛があります。」と言われることがあり。
以前は、すぐに「それは片頭痛ではないですよ。」とただしてましたが
それは国語的には患者さんが正しいので、国語辞典が修正されるまでは、
頭から間違えですとはいわずに、
「国語的には片頭痛といいますが、医学的には片頭痛ではないのです。」
とひとつ説明を加えるようにしてます。
(かえって混乱させたり、、すみません。)
それはさておき
片頭痛って血管が広がるから頭が痛くなる!
この説明を聞いたかたは?
おそらく大半の方がこう説明されていると思うんです。
でも
本当はこれは誤り!
血管の拡張と頭痛とは直接の関連はないのです。
先日、「血圧が高いから頭が痛い」という説明は誤りとブログに書きました。
同じように血管拡張してるから頭痛ではないのです。
実は、1950年にHarold Wolff先生が片頭痛の原因を血管理論を用いて説明しました。
脳の血管が収縮しているときに前兆(きらきら見えたり、見えなくなったり、めまいなど)が起こり、
脳の血管が拡張するときに頭痛が起こる。
そういう説でした。
片頭痛患者さんの半分位のかたに拍動性頭痛という心臓の鼓動のようなものを頭に感じますね。
血管理論は正しいように思えました。
しかし
1990年にオレソン先生たちが、アナルズ・オブ・ニューロロジーという格調高い医学専門誌に研究発表を投稿されました。
その研究結果がつぎの図です。
片頭痛患者さんが前兆をきたし頭痛が起こるところと脳血管撮影で経時的にみたのです。
前兆がおこる前は、たしかに脳血流は減少してますね。
でもそのあと
脳血流が減少しているのにもかかわらず頭痛が起こってるんです(図のAで示した期間)。
そして脳血流が増多!
その後頭痛はなくなるのに
脳血流はまだ増多!
図のBで示した期間です。
この研究結果で片頭痛の原因を血管の拡張によるという説明が誤りであることが示されたんです。
注)しかしながら、私自身もわかりやすく説明するために「血管拡張するような状態がでるから頭痛がするのです。」と説明しております。
【参考文献】
Olesen J, Friberg L, Olsen TS, Iversen HK, Lassen NA, Andersen AR, Karle A. Timing and topography of cerebral blood flow, aura, and headache during migraine attacks.Ann Neurol. 1990;28:791-8.
いまでは
片頭痛はCGRP(シージーアールピー)という炎症を誘発する蛋白が原因とわかっています。
髄膜炎という病気は脳の髄膜に炎症がおこり頭痛をきたします。
この頭痛が血管性という医師はだれもいません。
炎症に関連した頭痛ですね!
この髄膜炎の頭痛って拍動性なんです!
拍動性頭痛の正体は炎症だったのです。
同様に
片頭痛は炎症による頭痛
というのが正しい見解とのこと。
まとめ
片頭痛とは 国語と医学用語の違い
片頭痛の機序
血管説について
血管説はあやまりで炎症説がただしい
・過去のブログに禅問答(笑)のように書いてます。
参考いただけると助かります。
片頭痛の原因とは
・平成30年1月18日投稿正しい理論ですが簡単ではないです。