もくじ

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風邪やインフルエンザの予防は免疫力をつけることも!

ワクチンのあるインフルエンザは予防接種がもっとも予防効果があると言われております。
ただ、今回の調査結果からは、睡眠を十分とる、食事をしっかりとるなどの、我々の体の免疫力を高めることもかなり重要だと思いました。

風邪のワクチンを開発したらノーベル賞?

昔、カゼのワクチンと水虫のお薬を開発したらノーベル賞がとれると言われておりました。水虫を完治させるお薬は、近年開発されましたが、風邪はまだです。

風邪の原因はウイルスですが、そのウイルスの多くはライノウイルスといわれるインフルエンザウイルスよりやや小さめのウイルスなのです。

インフルエンザが80-120nmで、ライノウイルスは22-30nmです。

インフルエンザの予防にワクチン接種があるのに、ライノウイルスにはない?

インフルエンザは毎年変異します。

大体A型B型C型の三種類くらいが流行します。ですから、この三種類に的を絞り、ワクチンを開発します。2017年も開発の遅れはあったもの4種類のインフルエンザに有効なワクチンができました。
一方、かぜのライノウイルスですが、なんと100種類以上あるわけです。単純に、インフルエンザワクチンにくらべ25倍以上も労力も値段もかかります。そんなわけで風邪のワクチンは現在まで開発されておりません。

風邪とインフルエンザの違い

症状が急にでたり、重くなったり、関節や筋肉の痛み、倦怠感が強いのがインフルエンザです。

感染経路

咳やくしゃみなどを、吸い込んで感染る、飛沫感染(ひまつかんせん)と、それらが手などにひっつき、口などから入る接触感染がありますが、これはインフルエンザも風邪も同じです。

また、風邪もインフルエンザも空気感染をしにくいといわれてきました。
根拠となる論文は見つかりませんでしたが、風邪のライノウイルスは小さいこともあり空気感染があると個人的には思ってます。

空気感染

ウイルスが空中に浮かんで、それを私たちが吸い込んで感染することです。いままでは、インフルエンザが空気感染を裏付ける積極的な証拠はありませんでした。

しかし、感染者が呼吸するだけでウイルスが周りに拡散し、同じ部屋にいる人に感染する「空気感染」も予想以上に起こりやすいことが最近の研究で示唆されました。

方法と対象

インフルエンザ患者142人
発症から1~3日目に
(1)いつも通り呼吸しているとき
(2)話しているとき
(3)咳をしたとき
(4)くしゃみをしたとき―の呼気のサンプルを218個集めて分析しました。

結果

咳が出ていない状態で採取された呼気サンプル(23サンプル)の48%(11サンプル)でインフルエンザウイルスが検出されました。

まとめ

このことから、咳が出なくてもインフルエンザウイルスの含まれるエアロゾル(空気中に浮遊する粒子)は発生しうることが示唆されました。

さらに、くしゃみが数回出た場合も呼気サンプル中のウイルス量に変化はなかったようです。
くしゃみによる影響もいままで考えられていたほど大きくはないことが示されました。

インフルエンザに感染した人は、周囲への感染を防ぐため職場には、学童と同じ発症から五日間休むべきだと思われます。
また、空気感染の予防には、インフルエンザ発症をできるだけ近づけないことや、企業や学校、地下鉄車内の換気システムを改善することが大切です。
また、近年明らかにされた睡眠時間が短いとウイルス感染の罹患率が上がるというデータなど、我々の体の免疫力を上げることも、インフルエンザの予防に大切であると考えます。

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手洗いをしましょう。手にはバイキンが多くついてます。

 

【参考文献】
Yan J, et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2018 Jan 30;115.