本日は3月22日、春の訪れ。
朝、土手を歩いてたらハクモクレンが咲いてました。
今年は少し遅い開花かと。
マダニが媒介するマダニ感染症と脳神経内科・内科の視点
内科医・脳神経内科専門医として、感染症の中でも特にマダニ媒介感染症についての理解が重要であると考えています。
マダニはさまざまな病原体を媒介し、重篤な疾患を引き起こすことがあります。
本ブログでは、マダニ感染症の種類や神経系・全身への影響について解説します。
もくじ
マダニ感染症とは?
マダニは吸血性の節足動物であり、多くの病原体を媒介します。
特に日本国内で問題となるマダニ感染症には以下のものがあります。
- 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)(SFTSウイルス)
- ライム病(ボレリア属細菌)
- ダニ媒介性日本紅斑熱(リケッチア属細菌)
- ダニ媒介性脳炎(フラビウイルス属ウイルス)
マダニ感染症がヒトに与える影響
1. 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
SFTSウイルスはマダニに媒介されるウイルスで、日本でも西日本を中心に報告されています。
潜伏期間は6~14日で、以下の症状を引き起こします。
- 発熱、倦怠感、筋肉痛
- 消化器症状(嘔吐、下痢、腹痛)
- 出血傾向(紫斑、鼻血、血便)
- 神経症状(意識障害、けいれん)
- 多臓器不全
致死率は高く、特に高齢者では重篤化する傾向があります。
現時点で有効な治療薬やワクチンはなく、支持療法が中心となります。
2. ライム病
ボレリア属細菌による感染症で、マダニに刺されて数日~数週間後に以下の症状が現れます。
- 遊走性紅斑(環状の赤い発疹)
- 発熱、関節痛、筋肉痛
- 顔面神経麻痺、髄膜炎、心筋炎
治療には抗生物質(ドキシサイクリン、アモキシシリンなど)が有効ですが、早期発見が重要です。
3. 日本紅斑熱
リケッチア属細菌による感染症で、マダニに刺されて2~8日後に以下の症状が現れます。
- 発熱、発疹、頭痛
- 刺し口の腫れ
- 肝機能障害、腎機能障害
日本紅斑熱は抗生物質(テトラサイクリン系)で治療可能ですが、放置すると重篤化する可能性があります。
4. ダニ媒介性脳炎
フラビウイルス属のウイルスによる感染症で、ロシアやヨーロッパの森林地域で多く報告されています。
- 発熱、頭痛、筋肉痛
- 髄膜炎、脳炎、麻痺
- 昏睡や呼吸不全を引き起こすことも
この疾患にはワクチンが存在し、一部の地域では予防接種が推奨されています。
診断と治療
- 血液検査、PCR検査、抗体検査により病原体の特定
- 抗ウイルス薬・抗生物質(疾患に応じて)
- 支持療法(発熱管理、点滴、酸素投与など)
予防策
- 野外活動時の注意:長袖・長ズボンを着用し、肌の露出を避ける。
- 虫除けスプレーの使用:DEETやイカリジン含有の忌避剤が有効。
- 帰宅後のチェック:マダニに刺されていないか確認。
- マダニに刺されたら:無理に取らず、ピンセットで慎重に除去し、早めに医療機関を受診。
まとめ
マダニ媒介感染症は適切な予防と早期対応が重要です。特にSFTSは致死率が高く、重篤化しやすいため、マダニに刺された後に発熱や神経症状が見られた場合は、速やかに医療機関を受診してください。
正しい知識を持ち、安全に自然を楽しみましょう。