もくじ

たかが頭痛、されど頭痛

人の一生で最も頻繁に経験する症状の一つが頭痛だと思います。頭痛を経験したことのない人は世の中にいないのではないでしょうか?かぜで頭痛になる場合からくも膜下出血に至るまで同じ頭痛という症状でも千差万別です。

ブログにかける思い

あなたが悩んでいる、頭痛は病院に受診すべき頭痛なのか、放置してもよいのかを理解していただき、頭痛に対してどのように対応していけばよいか少しでも理解の手助けになればと思いホームページに発信したり、このブログを書いたりしております。

短い診察時間で申し訳ございません

診察室での診療は時間に限りがあります。患者さんの頭痛の知識をなんとか深めることができないかという願いもこめていろいろなところで発信しております。

川の流れのごとし

月日のたつのは早いもので、私どもが平成24年に継承開業(井上内科胃腸科医院からいのうえ内科脳神経クリニックへ)してからもうすでに六年が経ちました。その間に大勢の頭痛患者さんが当院に受診されました。

京都、貴船神社の滝

多くの頭痛を経験、薬剤使用過多頭痛も多い!!

くも膜下出血や脳腫瘍あるいは急性期の脳出血や脳梗塞などの二次性頭痛(原因がある頭痛)の多くを経験しております。頭痛の専門医を掲(かか)げているために難治性の一次性頭痛(*器質的原因のない頭痛)も多くみまております。その中で現在、目立っているのが薬剤の使用過多による頭痛(薬がないと寝込んでしまう状態です)です。

統計的には薬剤の使用過多による頭痛は片頭痛患者さんの約1-3%とされておりますが当院では約15%から20%の薬剤の使用過多による頭痛の患者さんが来られております。

マスコミの悪い影響

テレビのコマーシャルでは「痛くなったらすぐ○薬」といったり、「頭痛に△薬」と宣伝したり、頭痛であれば原因とは無関係にともかく薬を飲みなさいといわんばかりです。最近ネット社会のおかげで患者さんは頭痛が酷くなって自分は薬剤の使用過多による頭痛ではないかと思って受診される方も増えてきました。

しかしその一方、軽い頭痛ではすぐに市販薬を内服する現状は続いております。ある患者さんは、当院に受診したときに、薬剤の使用過多による頭痛と診断されたばかりでなく慢性腎不全とも診断されてしまいました。まだ30代ですが市販の○薬を毎日のように数年間飲み続けた結果でした。

患者さんのみでなくお医者さんにも啓蒙したい

総合病院で働いていたときに、本来ならば片頭痛の屯服薬として使用されるべき内服が朝夕の二回一錠ずつ他科の先生より定期に処方されていました。それによって、薬剤の使用過多による頭痛になっていた患者さんもいました。いまは、だいぶ医療者の片頭痛に対する認識レベルも高くなりました。それでも、まだ患者さんのみでなく医療者へもまだまだ啓蒙していく必要があると思うこのごろです。

風邪で病院に行くよりは、頭痛で病院へ行ってほしい

患者さんのなかには、頭痛ごときで病院を受診しないという風潮はまだあると思います。その一方で、風邪は万病のもとだから早く病院に行って治してもらおうという患者さんは多いようです。風邪の場合はしんどいから受診するのだと思いますが、頭痛のなかにはしんどくなくても重篤な病気が隠されていることがあります。頭痛で悩んだときには頭痛専門医の門をたたいて欲しいものです。

*風邪症状も、たかが風邪、されど風邪のこともあります。いままでと異なる風邪症状の時は病院へ受診されることをお勧めします。

最後に

私ごとですが、母が55歳のときにくも膜下出血でこの世を去りました。母は頭痛もちでおそらく前兆のない片頭痛をもっていたと思います。頭痛を専門に診てくれるクリニックが当時あれば、母はいまも83歳で元気に生活していたかもしれません。