「先生、風邪(かぜ)が悪くなる前に受診しました。」

風邪には西洋薬は効果ない。ですので一般的には、このような患者さんは市販薬の感冒薬を飲んでご自宅で休むというのが賢明な選択枝です。

ただ、「風邪で病院くるな」とは絶対にいいません。というのは二つの理由からです。

1.本当に風邪ですか?問診は十分できましたか?

発熱と体のだるさのみで鼻水・のどの痛み・咳がない患者さん。

蜂窩織炎(ほうかしきえん)・腎盂腎炎(じんうじんえん)・心内膜炎(しんないまくえん)だったことがあります。詳しい問診と検査によって診断されます。(これらの病気の説明はあえて、ここではしません。ただ抗生物質(ばい菌を殺すくすり)を投与しないと数時間で死にいたることもあります。

風邪と思っているかた。いつもと同じですか?鼻水・咳・のどの痛みのいづれか一つは最低でもないと風邪とはいいません。風邪ならご自宅でお休みください。逆に、いつもと違ったと思えば是非、受診をしていただけると幸いです。頭痛の専門医はいつもと違ったという症状で、何人も重篤な病気を見つける技(わざ)を身につけておりますので(笑)。

2.風邪に効果ある薬はあります。漢方薬は本当に有効です。

インフルエンザも風邪もいづれも上気道症状(のどの痛み・鼻水・咳など)の風邪症状を呈しますが、どちらもウイルス感染症です。インフルエンザは肺炎や脳症(のうしょう)になったり重篤になりますので世界中の研究者が競って研究をしている成果があり、インフルエンザに対しては抗インフルエンザ薬がいくつか開発されています。しかし風邪ウイルスに対しては症状が軽いこと、原因ウイルスがなんと200種類にもおよぶことより、風邪を何ウイルスが原因だと診断することはなく、そのためそのウイルスに対してのお薬も開発されておりません。

ところが、麻黄湯(まおうとう)、葛根湯(かっこんとう)に代表される中国は漢(かん)の時代に作られた漢方薬は、風邪のみでなく、インフルエンザにまで効果あるのです。(漢方薬がインフルエンザに効果あるって?やっぱりこの先生、藪(やぶ)だ!!と思わないでください。

漢方薬はインフルエンザに効果あり!!