こんにちは。

いのうえ内科脳神経クリニック 院長・内科専門医の井上です。

当院では、睡眠時無呼吸症候群の治療としてCPAP(持続陽圧呼吸療法)を導入されている患者さんのフォローを行っています。

さて、先日ある患者さんから「オーストラリア旅行中も、飛行機の中でCPAPを使いたいのですが可能ですか?」というご相談を受けました。

正直、最初は「そこまでしなくても……」と思いましたが、日本出発が夕方18時半、到着がオーストラリアの早朝ということを考えると、飛行中のCPAP使用は快適な夜の睡眠につながります。
しかも時差はたった1時間。到着後も体調を整えて過ごすためには、とても理にかなっています。

そのような患者さんのために、CPAPを機内で使用する際のポイントを以下にまとめました。


もくじ

✅ CPAP機内使用のポイント

① 航空会社に事前申請を
多くの航空会社(ANA、JAL、カンタス航空、ジェットスターなど)はCPAPの機内使用を許可しています。
出発の72時間前までに申請が必要な場合もあるため、早めの問い合わせをおすすめします。
医療機器使用申請フォーム」や「医師の診断書」の提出が必要な場合もあります。

② バッテリー駆動の確認
機内には電源のない座席もあります。
CPAP機器がバッテリー駆動対応であることを確認し、飛行時間+予備分のバッテリーをご準備ください。
リチウムイオン電池を使用する機器では、バッテリー容量(Wh)の申告や承認が必要な航空会社もあります。

③ 携行品として持ち込み可
CPAPは「医療機器」として扱われ、通常の機内持ち込み手荷物とは別枠で許可されることが多いです。
セキュリティチェックも通常通過できますが、係員には
「これは医療機器です」と伝えてください。

④ 加湿器の使用は控えめに
加湿機能付きのCPAP機器では、水漏れのリスクがあるため、機内では加湿機能をオフにして使用されることをおすすめします。


🛏 オーストラリア滞在中の注意点

  • 電圧:オーストラリアは230V・50Hz

  • プラグ形状:I型
    → お使いのCPAPが100〜240V対応かをご確認のうえ、I型への変換プラグをご準備ください。

また、ホテルによってはベッド周りにコンセントがない場合もありますので、事前にホテルへCPAP使用の可否や電源位置を確認しておくと安心です。


✈ 使用時の一例:カンタス航空より

「CPAPは機内での使用が許可されていますが、事前に医療機器使用申請フォームを提出してください。
バッテリーは飛行時間の1.5倍以上の容量を持つものをご準備ください。」


旅行中も安心してCPAPをご使用いただけるよう、当院では必要に応じて診断書の発行航空会社への申請サポートも行っています。ご希望の方はお気軽にスタッフまでご相談ください。

今後も快適な睡眠と健康のために、しっかりサポートさせていただきます。