木曜日の午後も診察室にいる私ですが、頭のなかはこのようなところにいます(笑)

木曜日の午後です。
午前の診療のあとは、MRI やCT機器などの電気関係の点検、コンピュータのメインテナンスに時間をあてています。
製薬会社の方からの情報提供をしていただくのもだいたいこの時間です。
四月からは遠隔医療も、この時間に行っていこうと考えております。

本題です!

もくじ

患者さんのお薬の数を少なくすることは日本の医療費を抑制するためにも大切なことと言われております。

以前、診療援助で働いていた病院でのこと。
30種類ものお薬を飲んでいる高齢の寝たきりの認知症女性がいました。
認知症
パーキンソン症候群
脳梗塞
心不全
・狭心症
高血圧
・糖尿病
・高脂血症
・高尿酸血症
・骨粗鬆症
お薬のため血圧は低くなりすぎ、脱水症状です。
脳梗塞は画像的なもの
おくすりはエビデンス(証拠となる論文)的には必要ない。
4種類にまで減量!

するとどうでしょう、

脱水症状はよくなり
患者さんはベッドからはなれて、動けるようになりました。
認知症レベルも改善されて日常生活にほぼ自立が可能になるまでになりました。

そうです、薬物が患者さんの認知症と寝たきり状態をつくっていたのです。

このようなことは、少なからずあり!

専門家のところに三ケ所行くとします。
一ヵ所の先生はよいと思うお薬を三つだけだします。
それだけで、九つの内服を飲むことになるからです。

多くの病気を、すべて専門家にずっとみてもらおうとするとこのようなことになります。

信頼できる先生に、専門家は紹介していく必要があります。

今日は逆のことをいいます。

本当に、お薬は少ない方がいいかです。

原則を忘れてないでしょうか?
・病気が治るほうがよい。
・苦しみから解放されるほうがいい。
・病気を予防するほうがいい。

最近増えた、お薬は少ないほうがいいという考え方。

世の中には合剤というのがありますね。

市販薬の風邪薬などはふつうに四種類位の薬剤が一剤のなかにはいっています。

合剤をつかうことによって少ない量でお薬を飲んでいるのではという錯覚をもちます。
時には、お薬を飲む習慣があがってよいわけです。

医学的にはこれをアドヘアランスの向上なんてよびます。

本当に、合剤がアドヘアランスをあげるのでしょうか?

お薬では、同じ効果や副作用なら数が多いほうがいいっていう人は少ないです。

昔、子供のころ
100円もらうより10円玉10枚もらう方がうれしいという感覚があったかたは多いと思います。

お薬ではこの感覚をもつかたは少ないです。
お薬は嫌なもの、嫌なものを仕方なく飲んでる。
西洋薬はその傾向があるかもしれません。

この気持ちが患者さんのお薬を飲むという習慣を妨害しているのではないでしょうか?

合剤をすすめるまえに、患者さんのお薬に対するネガティブな感情をぬぐいさる必要があると思います。

これをのめば健康に近づけるとポジティブに考えることができればよいのではないでしょうか?

お薬は毒という考えが、あまりにも横行してないでしょうか?
たしかに
効果のないお薬は毒になる可能性はあります。
しかし

効果のあるお薬はたとえ嫌な副作用があっても積極的に飲むべき場合があります。

ところが今の日本では、おくすりは少なければ少ないほどよいです。

異を唱えるかたはいらっしゃいません。
それが必要なお薬でも、
実際に後発品同士のお薬二つは先発品の合剤の値段が半分くらいというのもあります。
合剤ばかりを飲むと数が一見少なくなり不必要なお薬をのんでても、なかなか減らしずらくなります。
減らそうと思えば、かえって数が多くなることがあるからです。
不必要な薬は出さないし、欲しがらない。
しかし薬の数が多いだけで、悪いときめつけるのはおかしい。
そういった風潮を広めるべきだと思います。
「高血圧などのお薬は飲みはじめたら一生飲み続ける必要がある。」
と、間違った考えの方が少しでも減ることを願って止みません。