広島の開業医です。
この度の西日本豪雨により被災された皆様、ならびにそのご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。皆様の安全と被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
本日は、考えさせられるニュースです。
正しい情報を提供するのがわれわれの役目と思い事実に基づき報告させていただきます。
もくじ
患者さんから連絡がありました。
「私が飲んでいるお薬に発癌作用はないか?
今日の朝日新聞に降圧薬に発癌作用ありと。」
すぐにまた週刊◯◯の仕業かと。
患者さんには
「心配しないでいいですよ。
週刊誌が勝手に書いているだけでしょう。
もし真実なら私のところに製薬会社から連絡が入っているはずです。」
と自信をもって説明しました。
患者さんはひと安心。
「こんなに心配しなくても、、、」と思いながら診療を続けました。
しばらくして、そういえばさきほど、子どもからラインにお薬の記事が送られていたのを思い出しました。
その記事がなんと患者さんが心配された記事!
この写真のコンフリー(ヒレハリソウ)はヨーロッパからアジア地域に原生する多年草です。紀元前400年頃から民間療法の薬草として使用されております。80年代に発がん性懸念、FDAが使用中止を勧告したこともあります。
あすか製薬さんが作られていたバルサルタンという降圧薬に発癌性があるとされる物質が混入。
あすか製薬(東京都港区)は6日、製造販売した高血圧症治療薬のジェネリック医薬品(後発薬)「バルサルタン錠AA」に発がん性があるとされる物質が混入した疑いがあるとして、自主回収を始めたと発表した。服用すると重い健康被害が出る可能性があるが、これまでに報告はないという。
患者さんが服用していたのは、カンデサルタンという降圧薬でした。
バルサルタンではありませんでした。
また当院の近隣の調剤薬局ではあすか製薬さんのお薬は取り扱ってないとのこと。
でも私が出した処方箋は全国の調剤薬局で使用可能です。
もしかしたら患者さんにはこのバルサルタンを飲んでいる方がいらっしゃるかも。
この情報は7月6日に流れておりますが、私の方には製薬メーカーさんや関係者からはまだなんの連絡もありません。
西日本豪雨のために連絡が遅延している可能性もあります。
あすか製薬さんのホームページをみました。
どうやらこのバルサルタンは2017年9月に発売中止になっているようです。
2018年4月からは薬価収載されてませんので、それ以降に薬局でもらうことは原則ありません。
当原薬に N-ニトロソジメチルアミンが混入しているとの海外規制当局の情報を入手しました。
工場が中国にあり、製造過程で混入したとのこと。
原因は現在調べているようです。
ただし実際に健康被害がでたとの報告はないとのこと。
ただし念のため
高血圧のお薬を飲んでいらっしゃるかた。
バルサルタンを飲まれているかた。
これらの方は、あすか製薬のバルサルタンではないことを確認されてください。
もしあすか製薬のバルサルタンを飲まれていた場合は、すぐに内服を中止しかかりつけ医に相談されてください。
現時点では、あすか製薬のすべてのバルサルタンにN-ニトロソジメチルアミンが混入していた明らかな証拠はないもののあすか製薬さんは自主回収を行っております。
他の薬剤はどうなるのか、他の製薬会社のお薬は大丈夫なのか?
なぜN-ニトロソジメチルアミンが混入したのかなど明らかにしていただきたいです。
あすか製薬さんは後発品メーカーですので、このことが後発品は使用するべきでないという流れを作らないようになることを願っております。
まとめ
降圧薬に発癌との噂について。
あすか製薬の発売中止になったバルサルタンに発売物質が混入した疑いがある。
一部のあすか製薬のバルサルタンのみの可能性あり。
N-ニトロソジメチルアミンが混入した理由は不明。
あすか製薬はこれらの事実を受け同製品の自主回収をはじめてます。
今一度、ご自分の飲んでいるお薬の確認を。