音楽を聴くとパーキンソン症状が軽くなる。

YouTubeで見つけた動画です。

本日のブログの後半は専門用語も多くヘビーですので、読み飛ばしていただいて結構です。 

パーキンソン病の運動症状の代表的なものに寡動(動作が遅くなる)・姿勢反射障害(転倒しやすくなる状態)・振戦(しんせん・手足や体のふるえ)・固縮(体が固くなる)とあります。

この写真の男性はパーキンソン病の患者さんでこれらの症状のため足を一歩前に出すことが困難(すくみ足)になり歩幅も小さく(小刻み歩行)なっております。

動画の前半を見るといかに動作が困難であるかわかります。

ところが後半にはこの男性の好きな音楽がかかり、それを聴きながら体でリズムをとると驚くことに体の動きがスムーズになり歩行困難が軽快しました。

美しい音楽を聴くことで病状がよくなる奇跡的な瞬間で、涙がでるような感激です。

人間って、すばらしい能力を隠しもっていて素敵です。

この動画はやらせなどではなく、実は多くのパーキンソン病患者さんが少なからず経験する状態なのです。

ドーパミンの分子模型です

パーキンソン病は中脳黒質という部分からドーパミンという神経伝達物質がでなくなる病気です。

ドーパミンは頭の中心に左右扇形に存在する基底核というところに投射されます。

基底核は運動の機能を調節するところですので、ドーパミンが無くなると運動障害を呈するわけです。

そのような状態の患者さんでも、目から入る刺激、音刺激、触覚などの体性感覚刺激刺激などで運動障害を軽減させることができます。ジストニアという不随意運動を呈する病気が同様に基底核の病気であり、治療法にこれらの五感を使った方法があるといい、共通点が多くあります(肩こり、頭痛にも関連します)。

パーキンソン病でのこれらの刺激により運動症状が改善する現象は、矛盾運動といいます。

実は矛盾運動という翻訳は親しみがない脳神経内科医も多く、みんなキネジー・パラドキサーとカタカナ読みで表現されることが多いです。

矛盾運動 Kinesie paradoxalは1921年にSouqes先生らにより報告されました。

進行期パーキンソン病で歩行障害の強い患者さんの歩行が、あるタイミングで急に改善を認めるという症例を報告しました。

これらの患者さんは、タイミングにより、急に走れたり、障害物をすっと避けて足を高く上げることができたりします。

あるいは、とうていできそうもない(普段の歩き方の様子から)階段を一段とばしてすばやく昇れる、といった現象を認めるということが報告されました。

あるいは、会話中に意思疎通がほぼ不可能と思われる患者さんにおいても、あるときにはお客さんと通常の会話をするといった現象も報告されました。

これらの現象は一過性に起こる特異な現象(paradoxale) としてKinesie paradoxale と命名されたのです。

後に、Martin先生らは、進行方向に垂直方向の横線や、高さのある立体的な横棒を置くことにより、すくみ足症状が軽快することを報告しました。

また、レナードの朝という映画のワンシーンにも見られますが、パーキンソン病の患者さんの前に飛んできたボールをぱっと素早い動作で受け止めたりするように、目の前に飛んできた、サッカーボールをみて駆け出して、それを蹴ることができたといった症例も報告されました。

これらの現象はKinesie paradoxaleを示しているものと考えられます。

これらの報告は、視覚刺激により錐体外路の異常を正したということになると思いますが、会話中に急にしゃべれるなどは、聴力刺激やあるいは緊張度が増加することにより錐体外路の異常が正されたことになると考えます。

今回の動画のように、自分の好きな音楽で聴覚が刺激され、それと同時に過去の記憶である(リズムに合わせて行動する)基底核部位が補正される現象は、Kenesie paradoxaleと言われます。

一度にすぐに立ち上がれない時に、「イチッ、ニッ、サン」と声をかけると立ち上がれるのもパーキンソン病の患者さんです。おやっ?これは病気を持ってない人も同じではないか?と思われた人もいると思います。

そうです、矛盾運動は程度の差こそありますが運動障害のないかたにもおこりうる現象です。

では、BGM音楽を聴きながら楽しく仕事をしましょう(BGMが流せない職場で働いている方にはすみません)。

タイトルで頭痛・肩こりがなおる?としておりますが、音楽、視覚(広々と働く、机のまわりを整理)などで肩こりが軽減したり、頭痛が軽減したり起こりにくくなります。

この現象はすべてが矛盾運動と関連はありませんが、一部関係していると考えております。

後日、クリニックホームページマイベストプロ、このブログなどで詳細を書いていきたいと思います。