本日は頭痛とは異なるてんかんについてです。てんかんは私どもは臨床神経生理学会の脳波認定医であり専門領域のひとつです。米国留学後は広島大学病院で発作性疾患として頭痛、てんかんなどを専門に医療をしておりました。

先日、てんかんの70代の患者さんから車を廃車にしようと私に申し出がありました。発作が私のところに来てから半年くらい出現してないので、あと1年半たてば車の運転ができるのにと思いました。しかし後一年半運転なしで生活し、加齢もあるという事情を考慮しますと理解できました。社会的に責任のある行動をされるこの患者さんには感銘を受けます。

てんかんの患者さんでも、条件がそろえば運転免許の取得は可能です。昔は、てんかんという診断がついていると、免許はとることはできませんでした。しかし2002年改定施行された道路交通法で、自動車等の安全な運転に支障があるかどうかが個別に判断されることになりました。

医師が診断書を発行するわけですが、診断書は以下のような内容になります。

医学的判断 病名 と 総合所見(現病歴、現症状、重症度、治療経過、治療状況など)

意識障害または運動障害を伴う、最終発作日の記載をします。

そして、現時点での病状(改善見込み等)についての意見として以下の六項目のうち該当するところに○を付けます。

  1. 発作が過去5年間以内に起こったことがなく、今後も発作が起こるおそれがないと認められる。
  2. 発作が過去2年間以内に起こったことがなく、今後、x年程度であれば、発作が起こるおそれがないと認められる。
  3. 1年間の経過観察をした結果、発作は意識障害及び運動障害を伴わない単純部分発作に限られるものであり、今後、症状の悪化のおそれがないと認められる。
  4. 2年間の経過観察をした結果、発作は睡眠中に限って起こるものであり、今後、症状の悪化のおそれがないと認められる。
  5. 今後、六か月(又は六か月より短期間のxヶ月)以内に上記の1から4のいずれかになることが見込まれる。
  6. 上記1から5のいずれにも該当しない。(過去二年以内に発作を起こした、今後発作を起こすおそれがある。など)

これは、私どもが警察のほうから要請される診断書の記載事項であり、上記の6に該当すれば、てんかん患者さんは免許をとること、車の運転はできないことになります。注意しないといけないのは、私どもが上記の1から5に該当すると判断したとしても運転ができると判断するのは警察になります。当然のことですが、警察が運転の可否を決定しますので、私どもは、運転できますよとは言えません。

免許取得の手続きは、次のようになります(新規・更新のいずれの場合も)

  1. 運転免許の申請をするときに、てんかんの病気があることを申告しましょう
  2. 主治医に相談をして公安委員会指定の書式の診断書を書いてもらいましょう
  3. 診断書を公安委員会に提出しましょう

日本てんかん協会の月刊誌にてんかんと自動車運転についての特集があります。詳しくはこちらを。