この度の西日本豪雨により被災された皆様、ならびにそのご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。皆様の安全と被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

当院にもボランティアをするので破傷風のワクチンをうちたいというかたが多く来院します。

明後日からボランティアに参加したいのですが破傷風のワクチンを接種したほうがいいですか?

この写真は破傷風の治療法を開発した北里柴三郎の銅像です。

今回は破傷風ワクチンについて記事を書かせていただきます。

破傷風トキソイドワクチンの推奨

破傷風菌は土壌や糞便中などに広く存在し、いつでもどこでも感染の機会があり、創傷などから感染します。

受傷後の発症予防のために接種される。

特に、海外で冒険旅行をしたり、災害救助活動などでは事前接種が必要とされます。

破傷風ワクチンが必要なかた

現行の「予防接種法」(昭和 43(1968)年から接種開始)

若齢者を対象に定期予防接種として、DTP(生後3カ月以上90カ月未満に4回)と沈降ジフテリア・破傷風混合トキソイド (DT)(11歳以上13 歳未満に1回)の接種が推奨されています。

定期予防接種の非対象者に対して(昭和43年よりまえに誕生のかたなど)

沈降破傷風トキソイドを用いた初回接種(4~8週間隔で2回)と追加接種(初期接種後6~18カ月に1 回接種)がすすめられております(合計三回の予防接種になります)。

0日 1週間 2週間 3週間 4週間 5週間 6週間 7週間 8週間 6ヶ月 12-18ヶ月
破傷風ワクチン 初回 2回目 3回目

さらに10年毎に追加接種を行えば、防御抗体レベル以上の血中抗体価を維持する ことができると考えられております。

多くの場合(ぼぼ100%といわれます)こ れらのワクチン接種により、発症防御抗体レベル(0.01単位/ml)を超える抗体価を獲得することが 可能です。

子供のときにワクチンを接種したけど、今回災害ボランティアにいこうと思います。

またこの機会に将来も災害ボランティアなどを続けて参加したいと思います。

と50歳(昭和43年生まれで追加免疫が必要)のかた。

このかた、30年以上破傷風ワクチンは接種しておりません。

推奨は、一回のワクチン接種でしょうか三回のワクチン接種でしょうか?

本当は三回のワクチン接種がのぞましいのですが、一回でもいいのではないかと私自身は思ってます。

それは、災害ボランティアによる破傷風発症のリスクの低さもありますが一回の接種での効果も十分期待できると思っているからです。

平成23(2011)年の東日本大震災では10 人のかたが破傷風を発症しておりますが災害ボランティアのかたの発症はないと聞いております。

またほとんどが高齢者でワクチンを一度もうったことがない世代で一度でもワクチンを注射した世代の発症は少なかったようでした。

つまり、一回でもワクチン接種すればボランティア活動で破傷風を発症する確率はかなり減ると考えます。

それと、破傷風発症をおそれるならば現在参加しているボランティアのかたの多くのかたが三回接種と10年以内の追加接種をしていないのが現状ではないでしょうか。

破傷風ワクチン接種しないとボランティアできないとなるとこれまた社会問題です。

本来ならば破傷風抗体を測定して抗体がつくられてなければワクチンをうつのですが、この抗体の測定は安くても一回一万円以上もします。そして検査結果は15日から19日たたないと結果はでません。

過去、10年以上もワクチン接種されていないかたは三回のワクチン接種が推奨されます。

このかたにかぎらず、成人をはじめとする非対象者では、事故などの特別な理由がなけれ ば破傷風トキソイドワクチンを接種する機会はまずないので、成人の多くは十分な破傷風に対する免疫をもっていない状況です。

昭和43年以降に生まれたかたで、定期予防接種をされて10年以内に最後のワクチンを接種している場合。

怪我の確率が高いかたは、5から10年おきにワクチン接種。

確率が低いかたは、10年おきにワクチン接種。

*この場合の怪我はあとで述べます汚い外傷になります。

怪我をしてしまった。対応は!

きれいな外傷 その他の外傷
ワクチン接種歴 ワクチンの必要性 破傷風免疫グロブリンの必要性 ワクチンの必要性 破傷風免疫グロブリンの必要性
三回未満 あり なし あり あり
三回以上 最後のワクチン接種から10年以上の場合はあり なし 最後のワクチン接種から5年以上の場合はあり なし

カナダのLineage Medical, Incという会社のサイトから引用した表です。

怪我には二通りあります。

包丁などで怪我するようなきれいな傷

土壌にある錆びた釘を踏んづけた時にできるような汚い傷

きれいな傷

きれいな傷の場合でワクチン接種が三回以上あり最後の接種から10年経ってない場合は破傷風に対してはワクチンも免疫グロブリンも使用しなくてよいのです。

免疫グロブリン?

ばい菌が体の中に入ってきた時にばい菌を排除するためにできるタンパク質です。

実は破傷風にたいしての免疫グロブリンは作られており、汚い怪我でワクチン接種が三回未満のときに使用します。

破傷風が発症した場合は、この予防量の10倍以上を点滴したりして治療します。

汚い傷

汚い傷の場合の場合はワクチンの接種歴が三回未満の場合に免疫グロブリンの静脈注射を行います。
ワクチンの接種が三回以上あり、最後の接種から五年以内であればワクチンの接種は必要ありません。それ以外はワクチンを接種します。

以上が怪我をしたときの予防です。
これらのことから分かるようにワクチンを過去に三回以上受けているか、最後の接種から何年経っているかが破傷風の発症を防ぐ点で大切な点になります。

*破傷風のワクチンは当院では2500円です。

まとめ

破傷風ワクチンについて

破傷風の予防効果を100%にするためには、三回接種と追加接種が必要です。

怪我をしないのが基本ですが、怪我をしてからでも医療機関では破傷風の予防の対策をします。

一回の接種でも効果がありますので、ワクチン接種しないよりは接種してからボランティア活動もよいです。

ボランティア活動は熱中症もさることながら怪我などにも十分気をつけましょう。