はじめに

片頭痛の患者さんには睡眠時間を一定にすることが、頭痛の回数や程度などを改善させるといわれております。私もよく患者さんには7時間睡眠を推奨しております。ただ7時間睡眠がベストであると簡単には言えないのが現状です。7時間を推奨する根拠となる論文の紹介と、なぜ7時間睡眠でなくてもよいかという考察を加えてつぶやきます。

睡眠時間と死亡率

玉腰先生らは、生活習慣とがんなどの病気の発生や死亡との関係を検討するために、全国45地区約11万人の方々にご協力をいただき、1988~90年にアンケートにより集められた情報をもとに、約10年間追跡をしております。結果として、睡眠時間の長さと死亡率との間に興味深い関係が発表されました。

結果は、睡眠時間は7時間の方が死亡率がもっとも低いようです。睡眠時間は男性も女性も7時間を超えると死亡率が増えております。女性は睡眠時間ぎ7時間未満だと死亡率が増えております。この結果をみて、我々はすぐに睡眠時間は7時間がベストだと判断してしまいます。

【参考文献】Tamakoshi A et al. Self-reported sleep duration as a predictor of all-cause mortality: results from the JACC study, Japan. Sleep. 2004;27:51-4.

ここで、コレステロールと死亡率のデータを思い出します。

総コレステロールが140mg/dl以下の低い方の死亡率が、高かったのです。これは、背景に栄養状態などの差がありましたが、そのバイアスによるものと考えます。つまり、栄養状態などが悪いからコレステロールが低くなるので、当然、死亡率も高くなると思います。

【参考文献】Nago N et al. Low cholesterol is associated with mortality from stroke, heart disease, and cancer: the Jichi Medical School Cohort Study. J Epidemiol. 2011;21:67-74.

一方、岡村先生らのデータは、コレステロールと狭心症などによる死亡率との関係ですが、コレステロールが高い方はそうでない方の4倍も死亡率が高いと結果がでております。

総コレルテロールの値が160mg/dl未満までで検討しており、先ほどの論文の140mg/dlまでの検討はありません。140mg/dl以下となると栄養状態不良などのバイアスが出現すると思われますので、この結果ではそのバイアスデータは含まれていないと考えられます。お薬を使ってコレステロールの値を下げてます。コレステロールは下げれば下げるほど良いみたいです。

【参考文献】Okamura T et al. The relationship between serum total cholesterol and all-cause or cause-specific mortality in a 17.3-year study of a Japanese cohort. Atherosclerosis. 2007;190:216-23.

睡眠時間のデータにもどります。

睡眠時間が8時間以上の方は、男女ともに死亡率が増加してました。また、男性におけるデータでは、実は睡眠時間が7時間より短くても死亡率に有意差はなかったようです。これについては著者らは、男性はお仕事などで睡眠時間が短くなれのが原因だと解釈しております。つまり、病気などの持病があり、体調不良で寝たきりになる人たちがこのデータには含まれていたのではないかと推察されます。つまりコレステロールと死亡率のデータで栄養状態がバイアスであったように、病状がバイアスとして充分考慮されるかと考えます。

結論

これらのデータからは、睡眠時間のみにこだわるのでなく、睡眠時間は7時間になるように日常生活習慣を調整することは大切だと思います。

つまり、睡眠障害になるようなストレス、日常生活を修正したり、睡眠を多くとらないといけないような病気や体調不良にならないようにすることが大切です。

これらのことに気をつけて、7時間睡眠を目標にしますが、睡眠時間は一番日中元気に活動できるのがベストです。6時間の方が、8時間の方が熟睡できるのであれば、そちらの方が健康にはよいと考えます。過ぎたるは及ばざるがごとしであり、5時間の人が、9時間の人が7時間に無理をして調整しても死亡率が減ることは期待できないかと思います。