もくじ

🧠「前頭前野」ってどんなところ?

〜スマホと脳疲労の深い関係〜

こんにちは。
いのうえ内科脳神経クリニック院長、脳神経内科専門医の井上です。

最近こんなことはありませんか?

  • スマホを見ているだけなのに、なんだかどっと疲れる
  • 気づけば何時間もSNSを見ていて、頭がぼーっとする
  • 前より物忘れが増えた気がする
  • 気持ちのコントロールが難しい

これらの原因の一つとして、「前頭前野(ぜんとうぜんや)」という脳の司令塔が疲れている可能性があります。
今回は、スマホの使いすぎと「前頭前野」の関係について、医学的にわかりやすくお話しします。


🔍 前頭前野とは?

脳の一番前、左右のおでこの裏側にある領域が「前頭前野(prefrontal cortex)」です。
この場所は、人間を人間らしくしている、とても重要な部分です。

【前頭前野の主な働き】

  • 判断力・計画力
  • 注意や集中力のコントロール
  • 感情のコントロール
  • 記憶や思考の整理
  • 他人への共感や社会的行動の調整

つまり、「よく考えて行動する」ための中枢です。


📱 スマホと前頭前野の関係

スマホを使うこと自体は悪いことではありません。
でも、「何となく」「とりあえず」操作し続けることで、前頭前野が過剰に働き、脳が疲れてしまうのです。

たとえば…

  • SNSを次々に開く
  • YouTubeやTikTokを自動再生で流し続ける
  • メッセージの通知に何度も反応する

これらは一見「休憩」のようでいて、実は脳の実行機能(前頭前野の働き)をフル稼働させています。


🌀 「脳疲労」が起こるとどうなる?

前頭前野が疲れると、こんな症状が出てきます:

症状 原因
物忘れが増える 注意の集中ができず記憶が定着しない
イライラしやすい 感情のコントロールが難しくなる
やる気が出ない 行動を起こすエネルギーが出ない
眠れない 自律神経のバランスが乱れる

つまり、「スマホで休んだつもりが、脳は休めていない」状態になります。


🌙 睡眠との深い関係

以前のブログでもお伝えしましたが、スマホから出るブルーライトやグリーンライトは、**眠りのホルモン「メラトニン」**の分泌を妨げ、体内時計を狂わせます。

加えて、前頭前野の疲労は眠りの質を下げ、脳の回復を妨げるため、悪循環に陥りやすくなります。


✅ 前頭前野を守るために、今すぐできること

  1. スマホを見る時間を決める
    →「寝る1時間前はスマホOFF」が理想です。
  2. “何もしない時間”をあえて作る
    →散歩やお風呂など、考えずにボーッとする時間を確保しましょう。
  3. 深呼吸や瞑想で“前頭前野のクールダウン”
    →たった1分でも、脳の回復力は上がります。
  4. スマホ通知を減らす
    →集中を妨げる「割り込み作業」を防ぎます。

🗒 最後に

スマホは便利な道具ですが、使い方次第で私たちの「脳の司令塔」に大きな負担をかけます。
とくに前頭前野は、現代人が一番酷使している脳の部位かもしれません。

疲れた脳には、休息が必要です。
しっかり休ませてあげれば、また本来の力を取り戻してくれます。

ご自身やご家族の「脳の健康」のために、ちょっとした工夫を今日から始めてみませんか?