本日の話題はパーキンソン病患者さんについてです。
ホームページでは頭痛で来院した患者さんの病気がパーキンソン病だったと報告してます。
見ていただいた方はいらっしゃいますでしょうか?
今日は頭痛ではなく、パーキンソン病患者さんの足のむくみについてです。
もくじ
パーキンソン病患者さんで足がむくみやすいという訴えをよく聞きます。
これは足に血液が溜まってしまう状態(うっ滞)によると思われます。
足に血液がうっ帯しやすくなる原因は大きく二つあります。
一つはパーキンソン病で下肢を動かさない時間が多くなること。
心臓から足へ行った血液は、筋ポンプという筋肉の収縮によって静脈血を心臓へもどしています。
それが、ずっと足を下ろしている姿勢でなにもしないでいると、この筋ポンプが作用せずに下肢がむくむことになります。
次に、自律神経の症状です。
適切に足に行く血管を縮めたり広げたりすることができない(血管神経機能の低下)ために下肢にお水がたまるということです。
(同様の自律神経障害を起こす疾患に比べパーキンソン病患者さんの浮腫みは強いと考えられますので原因の詳細は実際のところは不明といわれております。)
むくみは、パーキンソン病の初期には見られず、ヤール3~4度*と、やや進行してる場合に多く見られる症状のひとつです。
また、このむくみの原因はパーキンソン病で使用するお薬のこともあります。
シンメトリル(アマンタジン)というお薬などの抗パーキンソン病などです。
心臓や肝臓が悪くてもむくみは出現しますが、これらのむくみは朝からひどい場合が多くパーキンソン病の場合は午後から夕方にかけてひどくなります。
*パーキンソン病の病気の進行度(重症度)を示す指標として、通常「ホーン-ヤールの重症度分類(ヤールの重症度分類)」と「生活機能障害度」が用いられています。
パーキンソン病患者さんの多くは体の片方からの症状が始まります。
進行すると体の両側に症状がでてきます。
「ヤールの重症度分類」では、このような症状の進行に沿って、ふるえなどの症状が片方の手足のみである場合を1度、両方の手足にみられる場合を2度、さらに症状が進行し、体の姿勢反射障害(バランスの立ち直り障害)がみられるようになった場合を3度、日常生活に部分的な介助が必要になった場合を4度、車いすでの生活や寝たきりとなった場合を5度としています。
生活機能障害度は生活機能の障害度に応じて1~3度の3段階に分類されています。
むくみの対応策です
・日中、下肢を心臓より少し高くして休みましょう。
下肢を動かすことができれば、空中自転車こぎなどをするとさらに効果あります。
・足の関節を積極的に動かしてみましょう。
足を椅子に座っている時には、足首を上に下へ時々動かすようにしましょう。
足首をさげているところ 足首をあげているところ
・下腿から足のマッサージです
溜まったお水を実際に心臓へ向けて押し出す感じです。
足首を手で握って心臓にむかってしぼりこむように、足指先からも同様にしぼりこむようにしてみてください。
両手を使ってもよいし、他人にしていただくのもよいです。
**浸透圧 半透膜(この場合は血管)をはさんで液面の高さが同じ、溶媒のみの純溶媒と溶液がある時、純溶媒から溶液へ溶媒が浸透するが、溶液側に圧を加えると浸透が阻止されます。
この圧のことを溶液の浸透圧といいます。
つまり濃い液体(皮膚の下のむくみがでる所)にむかって薄い液体(血液の液状成分)が流れるときの圧ということです。
・栄養状態について、パーキンソン病の方は内服の副作用や自律神経の症状のために栄養状態が悪いことがあります。
栄養状態が悪いと血管内の浸透圧(しんとうあつ)**が低くなりお水が血管の外に引っ張られて足のむくみをきたします。
栄養状態を改善するのもむくみには効果的です。