「えー、インフルエンザは西洋薬でしょ?」「この先生、漢方使って時代遅れじゃない?」

いえいえ、現代医学が漢方の有用性(ゆうようせい)をエビデンスとして証明してきたんじゃよ。

三国志(さんごくし)を読まれたかたは記憶にあると思いますが、あの「赤壁(せきへき)の戦い」があったのは西暦208年(建安13年)のことです。その後漢末(ごかんまつ)のころに、傷寒論(しょうかんろん)という書物が張仲景(ちょうちゅうけい)によって書かれました。そこでは、

「~自分の一族はもともと多く、200人以上いた。しかし、建安1年からまだ10年もたたないのに、三分の二が死んでしまった。そのうちの7割の者は”傷寒”という、はやり病(やまい)によるものだった。このような悲惨な状況を救いたいと考えたあげく、さまざまな書物を参考にして傷寒雑病論16巻をつくった」と書かれております。

そこで、記載されていますのが、現在も使用されている、「葛根湯(かっこんとう)」、「麻黄湯(まおうとう)」、「小柴胡湯(しょうさいことう)」などの漢方薬なんです。

・インフルエンザへの麻黄湯群、オセルタミビル群、ザナミビル群の無作為比較試験

麻黄湯群はオセルタミビル群、ザナミビル群より解熱(げねつ)までの時間は有意に短縮!!

【参考文献】 Nabeshima S et al. A randomized, controlled trial comparing traditional herbal medicine and neuraminidase inhibitors in the treatment of seasonal influenza. J Infect Chemother. 2012;18:534-43.

・オセルタミビルと銀翹散合麻杏甘石湯(ぎんぎょうさんごうまきょうかんせきとう)とプラセボ(偽薬)

H1N1新型インフルエンザに対して前向き非盲検、無作為比較試験

こちらも、漢方併用群で有意に解熱時間を短縮しています!!

【参考文献】 Wang CZ, Li P, Yuan CS. Traditional Chinese herbal therapy as a treatment option for H1N1 influenza.Ann Intern Med. 2012;156:166.