頭痛診療を専門にしてます広島のクリニック院長です。
もくじ
片側のみの頭痛を訴えられかたは50%、拍動性頭痛も50%です!!
頭痛の名前の由来から
「名前の由来なんて」といわないで聞いてください。
片側の頭痛が片頭痛ではありません。
「そんなの知っているよ」と私の患者さんからは言われそうです。
両側に出現したりすることが多いのが片頭痛なんです。
片側の痛みを訴えられるかたは実は半数程度なんです。
また、この頭痛は、顔面や頚に痛みが出ることがあります(じゃあ頭痛じゃない?まあまあ、複雑にするとやっかいだからこれも頭痛です。)
片頭痛という言葉から頭の痛みと誤解されている(すみません、これは国語的には正しいのですが。。)方が多くいらっしゃいます。
医師でも中には脳神経外科や脳神経内科の専門医の方でも目の奥が痛くなったり顔面が痛くなったりするのを片頭痛の症状として認めてくれていないかたがいらっしゃいます。
顔面の痛みを訴える患者さんを三叉神経痛(いわゆる顔面神経痛といわれるかたも)と間違うことや、副鼻腔炎と間違うことは多くあります。
で、片頭痛の分類です。
a. 前兆のない片頭痛
b. 前兆のある片頭痛
c. 前兆のみのもの
d. 腹部症状のみのもの
です。
cとdをみて「あれっ?これって頭痛?」と普通は思います。
あたりまえですが、これは頭痛ではないですね。
ではどうして、片頭痛の中に分類されているのでしょうか?
これは、片頭痛という日本語がすこし意味合いがことなることからと思います。
つまり、日本語で片頭痛というのは片頭痛症候群のことを意味するのです。
症候群というのは根本となる一つの原因から生じる一連のからだや心の症状をいいあらわす言葉です。
つまりストレストリガーにより興奮した頭のなかの神経細胞が、予兆という気分変調状態や音や光やにおいに過敏になり、その後に前兆というめまいや視覚症状がきて頭痛になったり腹痛になるという一連の症状を片頭痛といいます。
・予兆期 (2日前から30分前)
過食・あくび・集中力困難・抑うつ感・倦怠感・首やかたのこり・感覚過敏
・前兆期(1時間前から5分前)
閃輝暗点・めまいなど
・頭痛期(4時間から72時間・小児の場合は1時間から72時間)
食欲低下・嘔気・嘔吐・音光過敏・嗅覚過敏・アロディニア*
*アロディニア 異痛症といって、顔や上肢などのしびれや痛みなどです。
・緩解期 眠気
・回復期 食欲低下・倦怠感・抑うつ感・躁(そう)状態
この時の頭痛に片側性のものが多く最初にこの頭痛に名前をつけた人がラテン語でヘミクラニア(ヘミは片側を意味してクラニアが頭痛を意味します)と呼んだわけです。
それからヘミクラニアの症状をもつ患者さんの特徴は前兆があったり腹痛発作があったりするのです。
で、これらの症候群をヘミクラニアと呼ぶようになります。
英語圏ではミグレイン(migraine)と呼ぶようになったわけです。
英語圏でも我が国と同様なことが起こり「私はミグレインがあります」といえばすぐに頭痛のことを指すようになりました。
ここで頭痛学会の専門医の先生達はミグレインを症候群と定義して、そのうちの頭痛をミグレイン頭痛(migraine headache)と呼ぶようになりました。
となると頭痛のない前兆のみの症状もaura (前兆) without headache (頭痛のない)といい、
頭痛のない腹痛をabdominal migraine(腹部ミグレイン)と呼ぶ
ことで理解できるようになりました。
我が国ではまだそのような説明をする書物がないみたいです。
患者さんにはあなたの腹痛発作は片頭痛ですよとか、前兆のみの訴えできた患者さんに片頭痛の症状ですと説明します。
ですから頭痛専門医は患者さんからみて変人あつかいされます(冗談です)。