もくじ
五苓散は気圧頭痛に効くのか
― 天気痛と漢方医学 ―
いのうえ内科脳神経クリニックの井上です。
外来で頭痛の患者さんを診ていると、
「雨が降る前に頭が痛くなる」
「台風が近づくと頭痛が出る」
といった相談を受けることがあります。
このような頭痛は 気圧頭痛 や 天気痛 と呼ばれ、天候の変化と体調の関係を感じている方は少なくありません。近年では、気圧の変化が自律神経や内耳に影響を与え、頭痛の引き金になる可能性も指摘されています。
一方、漢方医学ではこのような症状を 水毒(体内の水分バランスの乱れ) などの概念で説明することがあり、その治療薬の一つとして 五苓散(ごれいさん) が用いられることがあります。
今回は
「五苓散は気圧頭痛に効くのか ― 天気痛と漢方医学 ―」
というテーマで、気圧頭痛と漢方医学の考え方、そして五苓散がどのような場合に役立つ可能性があるのかについて、脳神経内科の視点から整理してみたいと思います。
天候の変化で頭痛が起こる方の参考になれば幸いです。
いのうえ内科脳神経クリニック
脳神経内科医 井上健
はじめに
頭痛外来をしていると、患者さんからよく次のような相談を受けます。
「雨が降る前に頭が痛くなります」
「台風が近づくと必ず頭痛が出ます」
「天気が悪いと体調が悪くなります」
このような症状は一般に
気圧頭痛
天気痛
などと呼ばれています。
気圧の変化によって頭痛が起こるという経験は、多くの方が持っています。しかし医学的には、その仕組みはまだ完全には解明されていません。
このような気圧頭痛に対して、漢方薬の
五苓散(ごれいさん)
が用いられることがあります。
今回は、五苓散と気圧頭痛の関係について、脳神経内科の視点から考えてみたいと思います。
気圧頭痛とは
雨や台風の前には
気圧が低下
します。
気圧が下がると体にはさまざまな変化が起こります。
例えば
-
自律神経のバランスの変化
-
血管の拡張
-
内耳への刺激
などが頭痛の引き金になる可能性があります。
特に
片頭痛体質の方
では気圧の影響を受けやすいことが知られています。
内耳と気圧センサー
最近の研究では
内耳が気圧変化を感知している
可能性が指摘されています。
内耳は
-
平衡感覚
-
加速度
-
体の位置
などを感知する器官です。
気圧の変化が内耳を刺激すると
内耳
↓
自律神経
↓
三叉神経(頭痛神経)
という経路で頭痛が起こる可能性が考えられています。
そのため
-
気圧頭痛
-
めまい
-
乗り物酔い
は関連することがあります。
漢方医学から見た気圧頭痛
漢方医学では、気圧頭痛は
水毒
や
気逆
という概念で説明されることがあります。
水毒とは
水毒とは
体内の水分バランスの乱れ
を指します。
例えば
-
めまい
-
頭重感
-
むくみ
-
雨の日の体調不良
などの症状が見られることがあります。
気圧が低下すると、体内の水分バランスが変化しやすくなると考えられています。
五苓散とは
五苓散は
-
猪苓
-
茯苓
-
沢瀉
-
白朮
-
桂枝
からなる漢方薬で、
体内の水分バランスを整える
作用があるとされています。
そのため
-
むくみ
-
めまい
-
下痢
-
頭痛
などに使われることがあります。
気圧頭痛と五苓散
気圧頭痛では
-
体内の水分バランスの変化
-
自律神経の乱れ
などが関係している可能性があります。
そのため、体質によっては
五苓散が症状の改善に役立つ場合
があります。
実際の臨床でも
-
天気が悪いと頭痛が出る
-
気圧変化で体調が悪くなる
といった患者さんに五苓散を使用することがあります。
すべての頭痛に効くわけではない
ただし、五苓散は万能薬ではありません。
頭痛には
-
片頭痛
-
緊張型頭痛
-
薬剤の使用過多による頭痛
-
二次性頭痛
などさまざまな種類があります。
そのため
頭痛のタイプや体質を考えて治療を選ぶこと
が大切です。
場合によっては
-
片頭痛治療薬
-
予防薬
が必要になることもあります。
西洋医学と漢方医学
現在の医療では
西洋医学と漢方医学を対立させるのではなく
組み合わせて使う
ことが多くなっています。
頭痛の治療でも
-
生活習慣の改善
-
西洋薬
-
漢方薬
などを組み合わせることで、症状が改善することがあります。
最後に
雨の日に頭痛が起こるのは、決して気のせいではありません。
気圧の変化によって体のバランスが変化し、頭痛が起こる可能性があります。
体質によっては、五苓散などの漢方薬が役立つこともあります。
頭痛が頻繁に起こる場合は、我慢せず医療機関に相談することをおすすめします。
当院でも頭痛外来でご相談を受けています。



