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広島 漢方step-up セミナー2018

昨日の日曜日はあきば伝統医学クリニックの秋葉哲生(あきばてつお)先生の漢方セミナーに参加してきました。

非常に難しい内容と簡単にわかりやすく、説明していただきました。

漢方を勉強していて思うことは、みなさんが本当に説明が上手であるということです。

漢方薬は日本には、148種類もあり、それらを構成する生薬は110種類もあります。

生薬ひとつひとつに薬理作用が10以上あるといわれております。

それらを理解し、使いこなし、患者さんにはわかりやすく説明しないといけません。

ですから漢方医はおのずと説明が上手になり、話が面白くなるのかと思いました。

今回は私がわかりやすく解説しようと思いましたが、これは無理、漢方をある程度ご存知の方しか興味はわかない話題になってしまったかもしれません。ごめんなさい。。。

漢方生薬はユニットごとに勉強しましょう

110種類もの生薬を一つずつ暗記するのではなく、柴胡(さいこ)と芍薬(しゃくやく)は、気のいらいらを取り除く、といったように何個かの生薬の組み合わせ(秋葉先生はユニットと呼ばれます)で覚えていこうということでした。

勉強したユニットは人参(にんじん)と黄耆(おうぎ)のユニットの説明からはじまり、地黄(じおう)、芍薬(しゃくやく)、川芎(せんきゅう)、当帰(とうき)の四物湯(しもつとう)のユニットと、茯苓(ぶくりょう)、朮(じゅつ)、柴胡(さいこ)、甘草(かんぞう)のユニットなどについて教えていただきました。このように生薬の組み合わせのユニットごとに学ぶと、薬効をわかりやすく理解することができます。

人参(にんじん)、黄耆(おうぎ)のユニット

・人参も黄耆も体を温める生薬ですが、人参は体の中を守っていき、黄耆は体の外を守る作用があり、この二つのユニットは人耆剤(じんぎざい)とよび、体の内外を守るといわれております。

人参(にんじん)茯苓(ぶくりょう)朮(じゅつ)甘草(かんぞう)のユニット

・四君子湯(しくんしとう)のユニット 補気(ほき)の代表です*

*補気 人のからだは気(き)と血(けつ)と水(すい)で構成されていて、補気は少なくなった気を補うことです。

地黄(じおう)芍薬(しゃくやく)川芎(せんきゅう)当帰(とうき)のユニット

・四物湯(しもつとう)のユニット 血道(けつどう)を滑らかにする代表ユニットです。血道とは鼻血や痔、女性では月経です。

茯苓(ぶくりょう)、朮(じゅつ)、柴胡(さいこ)、甘草(かんぞう)のユニット

・秋葉先生のオリジナルユニットですが、精神的に働く有名な漢方の四つに含まれており、それ以外の漢方には含まれてません。

その漢方は抑 肝散(よくかんさん)、抑 肝散化陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)、加味逍遥散(かみしょうようさん)、加味帰脾湯(かみきひとう)です。

十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)

文字の通り十種類の生薬があります。前述したユニットの4 四物湯+4 四君子湯+2 人耆剤=10となります。

抗がん作用があるといわれてたり、がんの治療中や治療後にもよく使用されます。

麦門冬湯(ばくもんどうとう)

6種類の生薬 炎症をとるという話から紹介されました。

風邪やインフルエンザのあとに咳だけが残ることってありますよね。

痰がでないのに咳がでて、喉は乾くというやつです。それには、この麦門冬湯が効果あります。

麦門冬湯のなかには、人参(にんじん)、甘草(かんぞう)、半夏(はんげ)といった炎症をとり咳をしずめる生薬があるからです。

先日のブログで風邪の咳にはお薬は効果ないという論文を紹介しましたが、麦門冬湯をはじめとする漢方薬は効果があるといわれております。

西洋薬のリン酸コデインなどのお薬は脳に作用して咳をしないようにしますので、咳自体の経過には全くいい影響を与えないばかりか、気道を乾燥させ返って咳がひどくなるといわれております。

疎経活血湯(そけいかっけつとう)

生薬17種類 四物湯のユニットが入っている漢方として紹介されました。

四肢や体幹のしびれや痛みに効果あります。

夜に特に強い座骨神経痛に使用するので知られておりますが、出典の万病回春(まんびょうかいしゅん)の書によると左半身の疼痛に効果あるとのこと。

矢数道明(やかずどうめい)先生のお兄様はこの処方を用いて左麻痺の患者さんの麻痺を治癒したとのことでした。

二陳湯(にちんとう)

生薬5種類で陳皮(ちんぴ)半夏(はんげ)茯苓(ぶくりょう)甘草(かんぞう)生姜(しょうきょう)です。

めまいや頭痛を訴える患者さんに効果あるそうです。

吐き気や嘔吐などで以前より使用してましたが、頭痛、めまいにも有効のようです。

ただし、手足のやせやお腹がぽちゃぽちゃする(水音しんすいおん)などの症状(証しょう)があるかたに有効です。

この漢方ってたいした生薬ありません。

陳皮はみかんの皮、半夏は雑草、ぶくりょうはきのこの一種、甘草は醤油の甘み、そして生姜はしょうがです。

漢方って本当に不思議です。

これで効果あるんです。

ちなみにこの漢方薬は1500年代後半に曲直瀬道三(まなせどうさん)が医療衆方規矩(いりょうしゅうほうきく)に水毒(からだの水の流れの異常でおこる病態、めまい、むくみなど)治療に有効であると評価しているようです。