わたしどもは、広島で脳神経を中心に内科疾患を診療しております。

全国の群発頭痛の患者さんへ

一万人に一人の割合で発症すると言われる群発頭痛です。

少し特殊な内容になります。群発頭痛の治療に当たられている方、群発頭痛の患者さん以外の方は読み飛ばしてください。

 

高濃度酸素吸入

高濃度酸素吸入は呼吸不全の患者さんには保険適応になっておりますが、群発頭痛に対しては教科書的な治療法であるにもかかわらず保険適応にはなっておりませんでした。

いままでは、高濃度酸素吸入の治療は自費診療でした。

現在、混合診療の禁止というのがあり、この場合は群発頭痛のほかの有益な治療法も自費診療になってました。

しかし、平成30年4月の診療報酬改定の結果、この高濃度酸素吸入が保険適応になりました。

診療報酬の点数です

・指導管理料(月に一回まで)2400点

それに加え在宅療養指導管理材料加算(三か月に三回まで)

・酸素濃縮装置 4000点

・携帯用酸素ボンベ 880点

・呼吸同調式デマンドバルブ 300点

・在宅酸素療法材料 100点

診療報酬の合計は7680点になります。

すなわち、

自己負担額は三割負担のかたで月に23040円

一割負担のかたで月に7680円

となります。

頭痛学会などが、厚生労働省に働きかけて高濃度酸素吸入を群発頭痛の保険適応になるようにがんばられてた結果です。


リドカインの局所麻酔薬

エビデンスが乏しいこと、つまり効果あるかわからないことからも保険適応になっておりません。

医療機関からも市販薬として薬局からも購入はできません。

しかし、かぜ薬、アレルギー性鼻炎の鼻炎スプレーのなかに、リドカインが含まれており、このスプレーを使用することで三人に一人くらいですが群発頭痛の発作をおさえることができるようです。

ただし、この使用は適応外使用になりますので私どもから公におすすめすることはできません。

以下に、市販の鼻炎スプレーとリドカインの含有量を記載します。全て*第2類医薬品です。

カイゲン点鼻スプレー 30mL
* リドカインは3.3mg/ml
* 製薬会社 カイゲンファーマ株式会社

新ルル点鼻薬 16mL
* リドカインは3mg/1ml
* 製薬会社 第一三共ヘルスケア

ハピコム スットノーズα点鼻薬 30mL
* リドカインは2mg/1ml
* 製薬会社 奥田製薬

ベンザ鼻炎スプレー 14mL
* リドカインは5mg/1ml
* 製薬会社 武田コンシューマーヘルスケア

コルゲンコーワ鼻炎ジェット 30mL
* リドカインは3mg/ml
* 製薬会社 興和株式会社

この中で最も濃度が濃いいのはベンザ鼻炎スプレーのようです。

*第1類医薬品は薬剤師がいる薬局で販売可能なお薬ですが第2類医薬品は薬剤師さんがいなくても販売できる医薬品で、健康被害によるリスクがありながら、第1類よりも低いものです(健康被害のリスクがありますので、副作用や疑問点は薬剤師さんや販売者さんにお聞きになられて下さい。)

点鼻の方法

頭痛が起こり始めたら、鼻をよくかんだあとに、痛い方の鼻の孔からスプレーをします。

翼口蓋神経節(よくこうがいしんけいせつ)に向かって液を流し込む感じで、スプレー後に頭は後屈させる方が良く、スプレー後に寝転んだりするのもよいと思います。

注)スプレーをする時は座ってするようにしてください。寝転んで行うと液が出ないこともあります。


翼口蓋神経節 図の様に、鼻のかなり奥に位置してます。この部位に局所麻酔薬を内視鏡で注入して群発頭痛の発作をおさえる方法も報告されております。

【参考文献】
米田 浩基、他【群発頭痛に対する4%リドカインを用いた経鼻内視鏡的翼口蓋神経節ブロックの有効性】頭痛学会誌、2010年、36巻3号、P255-

米田先生の方法を応用して、群発頭痛期にベンザ鼻炎スプレーを、使用可能な範囲内である一回に一回から二回の噴霧を3時間以上おきに行うと(1日6回まで)群発頭痛の予防ができるかもしれません。


ちなみに、群発頭痛の発作時に有効なのがイミグラン点鼻スプレーです。

(患者さんのなかでイミグラン点鼻スプレーを誤解されて上記のように使用されるかたがいらっしゃいますので平成30年3月18日追記させていただきました。)

医師の処方せんが必要な医薬品ですが、現在のところ保険適応は片頭痛(偏頭痛)のみとなっております。

でも、実臨牀ではこのスプレーは有効です。

群発頭痛の患者さんのほとんどに効果ある印象があります。

頭痛がおこりはじめたときに、頭痛が起こっていない側の鼻孔にさすのがポイントです。

鼻炎スプレーの場合は、翼口蓋神経節にリドカイン麻酔をかけるわけなんで、良く鼻をかんで痛くなる側の鼻孔にさすわけでしたね。

イミグラン点鼻スプレーの場合は、鼻水がでていない方の鼻、つまり痛くないほうにさすのです。

なぜなら、お薬を鼻粘膜から吸収させて、血液中にお薬を入れて効果をだすためです。

飲み薬が胃から吸収されるのと同じ様に、鼻粘膜を利用してお薬を吸収させるわけです。

したがって、鼻炎スプレーを指すときと少し頭の位置は異なります。

下図のように少しだけお辞儀をするようにしてさすのがポイントです。

でないと、薬液がだらだらとお口のなかへ落ちてしまうからです。

スプレーをしたあとは鼻孔から、液が逆流しないように指でおさえておきましょう。

一般に、鼻粘膜から吸収されたお薬は15分ほどで効果がでるといわれております。