おはようございます。

日曜日の朝です。

台風24号のため広島市内には大雨が降っておりました。

いまは小雨となりましたが皆様に被害がないことをお祈りしております。

本日は認知症患者さんへの対応です。

もしあなたが、ご自分のお父さんやお母さんを介護していれば’手紙 ~親愛なる子供たちへ~’をぜひ読んでください。

介護の基本は愛情です!

まずは実践的な対応のしかたについて、そして愛情の必要性について。

ある日当院にアルツハイマー病のお母さんを連れてお嫁さん二人が来院。

家のなかで便失禁を繰り返すのだと。

時には便を手でいじったり、こねたりすることも。

これは、弄便(ろうべん)という行為で認知症のBPSD(行動・心理症状)の一つとされています。

ショックですよね。

このようなことをご自宅でされれば。

これをやめさせるには。

認知症患者さんの立場になること。

つまり、なぜ弄便をするのかに注目します。

この原因のほとんどが毎日規則正しい時間に、きれいな便がでない。

ご高齢になると、便秘になったり、ガスが多くなったり消化器症状がともないます。

便秘になっては下剤をつかいます。

すると自然排便でないため、便意のない排便になります。

下着を汚す結果に。

それによる違和感のため、便をさわる結果になります。

手に付いた便がなにか認識できず、それをとろうとしてこね回したりします。

認知症患者さんにとって弄便は、まったく悪いことをしている意識はないんです。

だから、それを注意しても無駄!

9月21日「世界アルツハイマーデー」でした。

弄便(ろうべん)に対する方法

下着やおむつなどに便がはいらいないようにする。

便秘や下痢の調整です。

以前は便秘といえばコーラックのような刺激性下剤が主流でしたが最近は便秘治療はガイドラインもあります。

とても進歩してます。

かかりつけの先生とよく相談をして、お薬を処方していただきましょう。

また、便失禁したらできるだけ早く処理してあげましょう。

そうすればご自分で処理しようとすることはぐっと減ります。

排便リズムがつけばその時間帯にトイレに誘導できればベストですね。

便にこだわらない

音楽を聞いたり、歌をうたったり、他のひとと会話をしたり。

外部からの刺激が多くなるとご自分の便やおむつの状態に注意が向かなくなります。

多少おむつ交換が遅れても便をいじらず忘れることもあります。

手指の便よごれを防ぐ

認知症患者さんは便と認識しないこともあります。

汚いものが手指についてしまったことで、それを拭こうとして周囲を汚すことがあり。

周りにタオルやティッシュなどあればそれをつかいます。

なにもなければ、周囲の家具などにこすりつけますね。

先手をうって、患者さんの近くにはタオルやウェットティッシュなどを用意しておきましょう。

患者さんの周りを整える

便をいじったりしても周囲が簡単に汚れないように。

ビニールや防水シート、タオルなどで周囲を保護。

肛門周囲、手指の皮膚を清潔にし乾燥させない。

乾燥した皮膚についた便はなかなか取れないです。

あらかじめワセリンなどを肌に塗る習慣を。

ワセリンに含まれる脂分が便をはじき拭き取りやすくなります。

さらに乾燥肌によるかゆみや痛みを予防しますので便によるかゆみもおこりにくく。

めがねやマスクを使う

目がよくみえないと、手探りをしますね。

同じように、よく見えないため便を手でいじって確かめることがあり。

めがねをかければ、しっかり便がみえるため便いじりが避けれるし、便が目のなかにはいる危険も減らせます。

同じようにマスクをつければ便を口にいれることも減ります。

このようなことを診察室ではアドバイスしたいのですが、時間が十分にないですね。

そしてさらにアドバイスしたいことは

便をいじられるお母さんですが、愛情をもって接してください!

でも、今回の場合はその言葉は私の口からはでませんでした。

お医者さんは診断など正しければそれをそのまま言えばよいというものではない。

診断もときには、当日に言わずに二回三回にわけて説明します。

同じように時と場合を考えて言わないといけません。

今回の患者さんご家族は

姑さんとお嫁さんの間柄

想像するにいままでよかったかと。。。。

便いじりをされる姑さんには腹立たしいという感情はあっても好きだという感情は?

いまのところ察せませんね。

だから言えませんよね。

愛情をもって接してあげてください。

この言葉。

でも、本当は他人に対しても認知症患者さんの介護をうまくおこなう秘訣は。

愛情をもって接することなんです。

特にアルツハイマー病!

物忘れはひどくなり、数分前に話したことや行ったことを忘れるようになっても。

あなたに対しての感情は鋭く保たれてるんですよ。

あなたはいい人、優しい人、いつもあなたのそばにいると落ち着く。

こんな感情はアルツハイマー病という病魔はなかなか破壊することはできない。

むしろ記憶が破壊されているだけ感情面が豊かになっていることすらあるんです。

愛情をもって接すると認知症患者さんがBPSD(行動・心理症状)を合併しにくくなります。

心地よくおだやかな環境

だれでもがそうです。

ご高齢になると、記憶力や行動力は落ちてきます。

ご自分の能力低下にたいし不安やあせりが生じます。

そのときに、記憶力低下・行動力低下を親しいひとから批判、冷たくされる。

それが繰り返されると。

ふさぎこんだり、暴言・攻撃的な行動をとったり、依存性が高くなったり、、、

認知症患者さんは、残念ながら記憶力や行動力をもとにもどすことは困難。

現況を自分自身が受け入れて、理解し、そのことをまわりの人が受け入れることで日々を安心して過ごせれます。

いままでは当たり前にできていたことが、だんだんできなくなる。

この喪失感と悲しみをともに理解してあげて、受け入れることです。

基本は、本人の思いを中心において、安心できる環境を一緒に考えてあげること。

心の余裕を 寄り添うこと、ときには距離をおく。

だれでもがそうです。

いつも一緒にいる家族には、遠慮なく、直接的なものいいをしがちです。

がんばってと励ましているつもりでも、聞く方からすると、避難されているように。

年をとったと自覚しているなかで、厳しい言葉をかけられると反発したくなります。

認知症患者さんには、とくに本人を否定しないこと。

立場を思いやり言葉をかけること。

歩きんさい!ではなく 一緒に歩こう!といった寄り添う言葉が大切。

しかし

認知症がないご家族にですらいつも気にかけることは無理。

認知症患者さんを常に気にかけることも無理。

ときには距離をおくことも大切。

デイサービスなどを利用することも大切。

医師に相談

お薬で対応することもできます。

またお薬がBPSDを悪化させていることもあります。

なにかあれば医師に相談することも大切です。

手紙 ~親愛なる子供たちへ~

【作詞】不詳【訳詞】角 智織【日本語補詞】樋口 了一【作曲】樋口 了一

年老いた私が ある日 今までの私と 違っていたとしても
どうかそのままの 私のことを 理解して欲しい
私が服の上に 食べ物をこぼしても 靴ひもを結び忘れても
あなたに色んなことを 教えたように 見守って欲しい

あなたと話す時 同じ話を何度も何度も 繰り返しても
その結末を どうかさえぎらずに うなずいて欲しい
あなたにせかまれて 繰り返し読んだ絵本の あたたかな結末は
いつも同じでも 私の心を 平和にしてくれた

悲しいことではないんだ 消えて去って行くように 見える私の心へと
励ましの まなざしを 向けてほしい

楽しいひと時に 私が思わず下着を濡らしてしまったり
お風呂に入るのを いやがることきには 思い出して欲しい
あなたを追い回し 何度も着替えさせたり 様々な理由をつけて
いやがるあなたと お風呂に入った 懐かしい日のことを

悲しいことではないんだ 旅立ちの前の準備をしている私に
祝福の祈りを捧げて欲しい

いずれ歯も弱り 飲み込むことさえ 出来なくなるかも知れない
足も衰えて 立ち上がる事すら 出来なくなったなら
あなたが か弱い足で 立ち上がろうと 私に助けを求めたように
よろめく私に どうかあなたの 手を握らせて欲しい

私の姿を見て 悲しんだり 自分が無力だと 思わないで欲しい
あなたを抱きしめる力が ないのを知るのは つらい事だけど
私を理解して支えてくれる心だけを 持っていて欲しい

きっとそれだけで それだけで 私には勇気が わいてくるのです
あなたの人生の始まりに 私がしっかりと 付き添ったように
私の人生の終わりに 少しだけ付き添って欲しい

あなたが生まれてくれたことで 私が受けた多くの喜びと
あなたに対する変らぬ愛を 持って笑顔で答えたい

私の子供たちへ
愛する子供たちへ

まとめ

長生きすればするほど認知症になる確率は高くなります。

高齢化社会のいま、認知症は特別な病気ではありません。

われわれだれもがなりうる病気が認知症なんです。

あなたが認知症になったらどのように対応して欲しいですか?

それを考えてお母さんに接してあげてください。

本当は診察中に一番言いたかったことです。