いのうえ内科脳神経クリニックの井上です。

本日は正常圧水頭症についてのおはなし。

治る認知症です!

そうです。

認知症の原因となる疾患の一つです。

・頭の回転が遅くなった

・歩くときにふらつくようになった

・トイレの回数が多くなった

これらはご高齢になればだれでもなりそうな状態です。

「年のせいだよ~」という声が聞こえます。

しかしこの症状がそろえば正常圧水頭症という病気かもしれません。

脳を保護している脳脊髄液

毎日一定量脳室で作られています。

でもこの脳脊髄液が作られ過ぎてしまうときに正常圧水頭症になるんです。

特発性正常圧水頭症

65歳以上のかたの1から2%といわれております。

決して珍しい病気ではないんですね。

正常圧水頭症はつぎの三つに分類されます

・特発性 原因不明

次第に症状が現れる

特に70から80代に多い

・二次性 くも膜下出血や髄膜炎などの後遺症

・家族性 遺伝性で非常にめずらしいです

正常圧水頭症の症状

歩行障害 90%以上のかたが訴えられます。

認知障害 80%以上

排尿障害 70%以上

歩行障害は

パーキンソン病とことなり

左右の足のはば(歩隔 ほかくといいます)が広くなります。

どのようなときに疑うの?

歩行障害と認知障害があれば正常圧水頭症を疑います。

そこに排尿障害が加われば正常圧水頭症の可能性がぐんと高まります。

そのときには受診は必至です。

また初期の認知障害なのに歩行障害があるならば病院でアルツハイマー病と診断されていても正常圧水頭症であるかもしれません。

セカンドオピニオンというかたちで病院受診もおすすめです。

病院に受診したときに正常圧水頭症と診断されるまで。

・問診・認知機能検査

当院では私と看護師から問診をおこないます。

この問診により、さきほどの歩行障害・認知障害・排尿障害のエピソードをひろいあげていきます。

・身体診察

神経診察のなかでも歩行がどのような状態であるかが主なポイントです。

・脳のMRI
・タップテスト(脳脊髄液を採取します)

歩き方(前述しましたが)

正常圧水頭症のかたの歩行は独特です。

よくパーキンソン病のかたの小刻み歩行に似てるといわれます。

しかし

パーキンソン病のかたの小刻み歩行は両足をそろえてちょこちょこと歩くことが多いのに

正常圧水頭症のかたはがに股で広い歩隔をもって地面から足を上げずにこするように歩かれます。

地面に磁石があり足が地面に引っ付いたように歩かれます→マグネティックック・ゲイト(磁石歩行)

脳のMRI

冠状断で撮影します。

画像所見の特徴

・脳室の拡大

・頭の上の方の脳が頭蓋骨にくっついていく

・シルビウス裂が拡大する

タップテスト

・30cc位の髄液を腰から抜きます。その前後で歩行時間を測定

・歩行障害⇒スムーズに歩けるようになる

髄液を腰から抜くまえの、表面麻酔をしているところの写真。

治療

・髄液シャント術

L-Pシャント術 

腰椎(L)-腹腔(P) シャント術のことで、腰部から髄液を腹腔内に移行させる管を入れる手術です。

V-Pシャント術

脳室(V)-腹腔(P) シャント術のことで、脳室から髄液を腹腔内に移行させる管を入れる手術です。

 

早期発見のため(症状がないかたに)

脳ドックを受診するのは有効です。

*脳ドックは脳動脈瘤などの病気を早期に発見できますので70歳以上のかたは一度脳ドックをおすすめします。

特発性正常圧水頭症の前段階 AVIM(エイビム)と呼ばれています。

Asymptomatic Ventriculomegaly with features of iNPH on MRIの頭文字をとってAVIMといいます。

これは症状はないのですが頭部の画像では典型的画像がうつります。

65歳以上の1%以上といわれます。

AVIMからの正常圧水頭症への進行は? 厚生労働省の追跡調査です。

AVIM52例 三年後 AVIMのまま 25例 48%

正常圧水頭症に進行 27例 52%

注意深く経過観察をして症状が現れたら治療をします。

まとめ

脳脊髄液について

正常圧水頭症の分類

正常圧水頭症の症状

正常圧水頭症の治療

AVIM(エイビム)について 説明しました。

70歳以上のかたは症状なくてもこのような病気があります。

脳ドック受診されてみてはいかがですか?