抗コリン薬が認知症発症に関係するか?

最近の研究で明らかになってきましたが、実はこれは抗コリン薬が開発された時からずっと懸念されていることです。

抗コリン薬の副作用には、めまい、口渇、排尿困難などとともに、眠気、注意力の低下、認知機能の低下があるのです。

いままではこれらが一時的な副作用と考えられておりました。

つまり内服をやめると副作用もなくなると思われてました。

ところが今回発表された研究では、認知症になる15-20年前の内服でも関連性が示されました。

この結果をみた一般のかたは、抗コリン薬は使用すべきでないと思いがちですが、それは誤りと私は考えます。

抗コリン薬とは

アセチルコリンがアセチルコリン受容体に結合するのを阻害する薬物のことです。

抗コリン作動薬とも呼ばれます。

この抗コリン作用によって副交感神経の機能を抑制します。

そのことから副交感神経遮断薬とも言われていたました。

抗コリン薬はいろいろな病気で使用されております。

うつ病

泌尿器系(過活動膀胱など)

パーキンソン病の治療薬

ジストニアの治療薬

消化器や循環器系にも

この中で今回、注目されたのはうつ病、泌尿器系そしてパーキンソン病やジストニアなどの治療に使う抗コリン薬でした。

これらのお薬を使用すると将来的な認知症を起こすリスクが増えるというものでした。

どうやら認知症と診断される15年から20年前の内服でもそのリスクが増えるようです。

認知症患者約4万例と対照約28万例で、曝露量・期間と認知症リスクを評価されております。

【参考論文】

Richardson K, et al. BMJ. 2018;361:k1315.

過去にも同様の研究があります。

抗コリン作用のある薬剤を長期間内服すると、認知症の発症リスクは10年後には以下のようになります。

91日分から365日分の使用では1.19倍

1096日以上では1.54倍

これからみると、確かに抗コリン薬使用は必要最小限にすべきですが、認知症発症をそれほど恐れる必要もないかと思います。

認知症のリスクについては、既述しておりますが、運動不足や聴力低下、ストレスなども十分なリスクの高さになるわけです。

必要なお薬を将来の認知症発症のリスクになるからといって過度に心配するのも問題かと思いました。

 

まとめ

抗コリン薬使用は将来の認知症発症のリスクになる。

リスクになることは過去の論文にも示されている。

しかしそのリスクは他に運動不足やストレスなどのリスクと大差ない。

不必要な抗コリン薬の使用はさける、他のお薬で対応することが大切。

過度に抗コリン薬について心配する必要はないと考える。