もくじ

片頭痛は多因子遺伝

先日、片頭痛は遺伝をするというブログ掲載をしました。

遺伝の要素が強いのが片頭痛だと思っております。

中には、メンデル型遺伝のように一つの遺伝子(単一遺伝子)による遺伝をする片頭痛も稀ながら存在します。

しかし、診察室では、片頭痛の患者さんには生活習慣についてお尋ねすることが多いです。

なぜならば、その生活習慣をコントロールすることは片頭痛の治療では非常に大切なのです。

 

疫学的調査の結果、片頭痛は家族歴があることが多く、何らかの素因(遺伝的因子)が関連しています。

つまり、通常のメンデル型遺伝のように一つの遺伝子(単一遺伝子)による遺伝ではありません。

多くの素因が遺伝されること、それに環境因子が加わることで発症するのが多因子遺伝の病気です。

多因子遺伝の病気には2型糖尿病、高血圧などからパーキンソン病やアルツハイマー病があります。

先日、40代後半の女性の患者さんが来院されました。

40代後半から、嘔吐をともなう拍動性頭痛を経験するようになったとのこと。

他に器質的要因がないことを血液検査、頭部MRIなどで確認して前兆のない片頭痛と診断しました。

閉経して間もないこと。

更年期障害で女性ホルモンを服用してたこと。

眼精疲労があること。

肩こりがあること。

不規則な睡眠習慣があること。

これらが原因であると説明してしました。

片頭痛が誘発されやすい環境因子が多くかさなることで発症したと考えました。

環境因子も一つのみで発症することより、このように複数で発症することが多いのが片頭痛です。

糖尿病の場合

環境因子は、食べ過ぎや運動不足による肥満、アルコール、精神的ストレス、年をとることなどがあります。

治療の主眼は、これらの環境因子を取り除くことになります。

名医とやぶ医の違いは、これらの危険因子に注目できるかどうかだと思います。

片頭痛の場合

で、片頭痛の場合にもどります。

じつは片頭痛も生活習慣をコントロールすることが大切です。

1 過労をさける。

2 ストレスを解消する(運動する)。

3 規則正しい生活をする(食事・睡眠をきちんととること)。

休日は眠り過ぎないようにし、十分に運動をすること。

4 頭痛を誘発する食物を避けること。アルコール・チーズ・チョコレート・ナッツ・ハムなど。

これ、全部やめていたら、フランス料理やイタリア料理は食べれなくなります。

気になる食材だけ避けるようにしていくとよいかと思います。

5 姿勢を正しくする(うつむき姿勢は頭痛を誘発することが多いです)。

ただし、姿勢がいくらよくても肩や首に緊張がはしっている状態はだめです。

逆に姿勢が悪くても、首や肩がリラックスできていれば頭痛に関しては大丈夫です。

6 筋肉をリラックスさせること。入浴やウオーキングなどの運動は有効です。

ただし、片頭痛がおこる前の予兆期や、頭痛期には入浴や運動はさけたほうがよいでしょう。

7 コーヒー、紅茶、市販の鎮痛剤などのカフェインが多く含まれているものは連続して摂取しすぎないようにすること。

 

片頭痛は生活習慣病のような印象もあります。ただ、大きくことなるのが、生活習慣病はサイレントキラーです。

その病気になってしまっても、その病気の症状でこまることはなく、将来発症する病気で困ります。

例えば2型糖尿病。糖尿病になっても合併症がくるまでは多くはサイレント、なにも症状がありません。

脳梗塞や心筋梗塞になり初めて症状がでるものです。

片頭痛は、常に症状ありきです。

生活習慣を改善できないときは頭痛発作が多くなります。

また、片頭痛は罹患年齢が小学低学年から50才ころまでです。

中には例外もありますが、80才で片頭痛発作に見舞われるかたはほとんどいらっしゃいません。

80才のような御高齢になると頭痛が減るということは体質の変化だからです。

生活習慣がよくなり頭痛がなくなるよりも体質(遺伝的要素)の変化により頭痛がなくなります。

生活習慣をできるだけよくしましょう。しかし体質の要素も強くあります。

生活習慣ができてないから頭痛発作があると落ち込むのはネガティブです。

体質の影響があるのでそれはそれでよいと諦めることも大切です。

すばらしい頭痛治療薬や予防薬をつかって快適ライフをおくりましょう。

生活習慣はできるだけ、改善するように努力しましょう。

その結果、片頭痛の治療のみでなく、他に得られる健康や才能を発揮なされるのではと思います。

片頭痛のかたが偉大なお仕事をされるのも規則正しい生活をされるからかと最近思っています。